音源は1987年ビクターから発売のエラート・パピリオン・コレクションの中の1枚。
調整前の音を聞けばわかるとおりCDの音はノイズっぽく,何となくいやな感じがするのだ。
それで,一度聴いたきり棚の中にしまいっぱなしだった。
この音ではリスナーは離れていくし,若いクラシック・ファンの獲得は無理である。音に魅力が皆無!
当時のメーカーが音質改善を怠けていたのか,改善の方法が思いつかなかったのか。
いずれにせよ音の悪いCDが世にあふれることになった。
PCソフトで詳細な音質調整が可能なので,ノイズ除去にチャレンジしてみた。
ノイズ感は50%以上は減少しているはずである。
ただノイズはある程度残っていて,男声合唱のマスの響きに汚れがある。
かろうじて美感は味わえるようになってはいる。
ノイズは2.3kHz〜9.0kHzに分布しており,特に2.6〜3.2kHzは-5dB調整しなければならなかった。
演奏は予想を上回る透明感と感興に満ちており、フレモーのバーミンガム響盤に劣らない存在感がある。
SACD化も含めてこれら貴重な録音をふさわしい音質に改善して世に問うてほしいものだ。