的を得る についてだが、
語源としては、大学や中庸の「正鵠を失う」という表現からきているわけだ。
正も鵠も的の真ん中の黒星を指していて、当たったら「得た」といい、
はずれたら「失う」と表現していたのだ。
一方、正鵠に当たるかどうかを示さない表現が「的を射る」だ。
射るだけでは、当たったのか外れたのかはわからない。
「失」の反対は「得」であり、「射」ではない。
それに、元々、「得」という字には「あたる」という意味がある。
大御所の白川静の「字通」にも書いてあるから確認してみるといい。
漢学の素養が失われてしまったことが無用の混乱をもたらしている事例だね。
日本人がかつて持っていた漢学の教養は消え去ったと言っていいだろう。