>>264
「19歳から小説家になりたいと思っていました。賞に応募もして、一次選考は通過しました。就活では大手出版社を受験。
一次面接に進んだのですが、東京までの交通費が出ないというので面接には行きませんでした。(編集者ではなく)物書きになりたいからです。
でも、ネットで見ると、そんな人はいっぱいいる」
 働きながら小説家を目指すこともできるはずだ。
「社会に出たり働くことへの不安は強い。(父親にされたように)怒られるんじゃないかと思ってしまいます。
それなら、やりたいことを最初からやったほうがいい」
 アルバイト経験はある。
「26、27歳のとき、書店でバイトをしました。文芸コーナーの担当です。
しかし、賞の締め切りが近いときに休もうと思ったんですが、店長に“バイトか小説か、どっちかにして”と言われて、小説をとった。
書いてさえいれば、自分のなかで(働いていないことへの)免罪符になったんです」
 ただ、1年中、書くエネルギーも集中力もない。事実上、ひきこもり状態だ。
両親と話すことはない。外出は、食事をコンビニで買うときの1日3回。時折、大阪へ飲みに行く。
大学時代から通う精神科で精神疾患の診断をされたことにより、障害者手帳の2級を取得。それで得る障害年金の支給のみが収入だ。足りない場合、母親に要求する。
 この先をどう考えているのか。
「応援してくれる人がいます。でも、(恩師である)塾の先生が去年亡くなって、ずっといてくれるわけじゃないとわかった。
どうにかしなきゃ、とは思うんですが、原稿が進みません」
貧困により希望が損なわれていく