Wikipedia - 熊本PTA裁判

原告は被告PTAに対して、同意書や契約書なしに強制加入させられたうえ退会届が受理されなかったことを訴え、会費などの損害賠償を求めた。
2016年2月25日、熊本地裁は原告の訴えを棄却。原告は控訴した。2017年2月10日、福岡高裁にて熊本PTA裁判は和解した。

和解条項
・PTAが入退会自由な任意団体であることを将来にわたって保護者に十分に周知すること。
・保護者がそうと知らないまま入会させられたり退会を不当に妨げられたりしないようPTA側が努めること。

裁判の前提事実として,被告PTAが「入退会自由な任意加入団体である」ことが確認された(判決[6]第2頁)。

熊本地裁での主な争点は、PTAが本件冊子を交付し、原告が会費を納入したことによって、原告がPTAに入会したと認められるのか。
判決の概要は,以下の通りである。
民法は,保証契約や遺言など限られた場合にのみ書面を契約成立の要件とするから,PTAの加入について書面が必要ではなく,
黙示の意思表示により成立しうる。本件原告が表紙に「わたしたちの帯山西PTA」及び「熊本市立帯山西小学校」と記載されている冊子を受け取り,
その後「PTA会費納入袋」の文字と印刷されている納入袋を受け取ってこれを使ってPTA会費を支払ったなどのことから,
原告保護者と被告PTAの間に黙示の加入に関する合意が成立した。

なお,本判決は,以下の事実を認定した。
本件冊子の表紙及び1頁から5頁にかけて校名,校章,校訓,校花,校歌,校区地図及び校地校舎平面図が記載されており,
PTAに関する記述が6頁以下にある(判決第4頁)。本件冊子は,児童を介して保護者に交付したのである(判決第6頁)。
つまり,PTAは小学校から独立した団体であるのに,帯山西小学校はまるで被告PTAを統括しているように保護者を誤信させた,などの事実が
本判決のなかから判明した。しかし,本裁判の被告はPTAのみであったため,小学校を設置する熊本市ないし教職員を雇用する熊本県は
被告とされておらず,本件では学校の国家賠償法上の違法性が争われなかった。