旧優生保護法では「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害者や精神疾患患者らに不妊手術を実施。1949〜96年に、
少なくとも2万4991人が手術を受け、うち1万6475人は本人の同意がなかったとされる。
宮城県内の60歳代女性が今年1月、全国で初めて国に損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こし、
現在、議員立法による救済が検討されている。

 男性が旧優生保護法の存在を知ったのは、60歳代女性の訴訟がきっかけ。弁護士に相談して県に手術記録を開示請求すると、
廃棄を理由に「不存在」とされたが、都内の産婦人科医に手術痕を確認してもらい、家族の証言などとともに証拠として提出するという。

 記者会見に同席した新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は「記録がない人は2万人はいるとされる。男性のケースが試金石になる」と指摘。
男性に手術が行われた理由について「行政が法の趣旨を拡大解釈し、手術を進めていたのではないか」と語った。

 旧優生保護法を巡り、国が訴えられたり、訴えられる見通しになったりしたのは少なくとも5例目。男性は会見の最後に
「自分と同じつらい思いをした人はほかにもいるはず。勇気を出して声を上げてほしい」と繰り返した。