44年にわたって介護を続けた脳性まひの次男(当時44歳)を殺害したとして、殺人罪に問われた大阪市の母親(74)は今年1月、大阪地裁の法廷で泣き崩れた。

「後悔の念でいっぱい。本当にかわいい息子だった」

母親は2014年11月22日午前8時ごろ、自宅で寝ていた次男の首を腰ひもで絞めて殺害したとされる。

間もなく帰宅した長男(49)が異変に気付いて119番通報した。

次男が息を引き取った後、母親は仏壇の前でお経をあげていたという。

大阪地裁判決や法廷での関係者の証言によると、次男は出生時から重い障害があった。

成長しても歩いたり、話したりできず、全ての面で介護が必要だった。
母親が中心となり、おむつ交換、食事、入浴などの世話をした。
次男は便秘気味だったため、2日に1度は次男の肛門に指を入れて便をかきだした。

音を鳴らすことが大好きだったから、音が出るおもちゃを持たせ、キーボードの鍵盤に触れさせて遊ばせた。

成人すると介護の負担は増した。
家の中でも車いすで移動させており、体重50キロ前後の次男を車いすに乗せたり、降ろしたりするのは重労働で、母親は腰痛に苦しんだ。

次男は夜に布団からはい出すことも多く、母親は寝不足になった。

07年に夫が亡くなってからは母親が全てを一人でこなした。
11年に別居していた長男が同居してくれた。
母親と長男は大阪市此花区の障害者向け施設「アミティ舞洲」に次男を連れて行き、入浴や食事を楽しませた。
ただ、母親は12年には医師にうつ状態と診断され、抗うつ剤を飲んだ。ストレスをためた長男から暴言をはかれることも増えた。


事件前日。
母親はケアマネジャーに自分自身が施設に入りたいと訴えた。
翌朝、押し入れにしまっていた腰ひもを取り出し、布団で寝ていた次男の首に巻きつけて絞めた。1、2分たつと、次男は「うーうー」と声をあげて絶命したという。