赤ちゃん専用「夜泣き外来」 親の精神的負担緩和にも期待
https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201807/0011494149.shtml

 赤ちゃんは夜中にしばしば目を覚ましてよく泣き、不機嫌になる。
このような睡眠障害が疑われる乳幼児を対象とした「夜泣き外来」が7月、兵庫県立リハビリテーション中央病院(神戸市西区曙町)に開設された。
発達障害の予防や早期発見にもつながるほか、眠れない親の精神的負担を和らげて虐待防止にも効果が期待される。全国的にも珍しい診療部門という。(佐藤健介)

 乳幼児の睡眠障害は運動や言葉の発達を遅らせ、注意欠如多動性障害(ADHD)やコミュニケーション障害、自閉症に似た症状を示すことが報告されている。
医療が関わるべき問題だとして、同病院子どもの睡眠と発達医療センター長の菊池清医師(66)を中心に専門外来を立ち上げた。

 対象は、夜中眠れずに何度も起きて泣く▽ぐずってなかなか寝付かない▽日中機嫌が悪い−といった症状に悩む4歳未満児とその母親。睡眠リズムを記す問診票や、抑うつ傾向を調べる自己評価票に記入して診療に臨む。

 新生児期は昼夜の区別なく眠り、授乳とおむつ換えで2〜3時間ごとに目を覚ます。また、7歳児以下の良質な睡眠時間の目安は夜間連続で10時間とされる。こうした通常の生体リズムを身に付けるための指導を行う。
具体的には、日中に外遊びをさせる▽昼寝は午後3時まで▽1歳までカフェイン禁止▽スマートフォンを子守に使わない▽寝る2時間前までに夕食と入浴を済ませる−などだ。

 外来を担当する豊浦麻記子医師(45)は「夜泣きに対し、行動科学的なアプローチや薬物治療はあまりなされていなかった」と指摘。
自ら寝付く力を育むため、抱っこしたり夜間に授乳したりしないように習慣の変化を促すほか、必要なら睡眠に関わるホルモン「メラトニン」も投与する。それでも効果が見られないケースや、情緒不安定な母親が子どもを虐げる恐れがある時などは入院治療する。

 菊池医師は「睡眠は自己評価低下や自信喪失、不登校など、発達における『2次障害』の予防につながる。
両親の睡眠障害を回避することにもなり、家庭内の精神衛生を改善し、児童虐待防止も期待できる」と意義を語る。