>>295
また、母親は市の健診で「泣き声が気になり、長男と次男の口を手でふさいだことがある」と打ち明けていましたが、その後、具体的な対応はとられませんでした。

母親は、市に、こども園に入園させられないか思い切って相談に行きましたが「年度の途中に3人そろっての入園は難しい」と断られ、育児休暇を延長するしかありませんでした。

法廷で、母親は当時を振り返り、「成長にいちばん不安があったのも、体重が増えていちばんうれしかったのも、次男でした。次男の発育について指摘されると、しっかりやらなければと思っていました」と話しました。

そして、こう続けました。

「長男と長女はかわいいと思う一方、次男だけ、接することが憂うつになりました。同じ自分の子どもなのに、次男にだけそう感じる自分は愛情が薄くひどい人間だと思いました」

母親は、次第に追い詰められていきました。

孤立深めた末に…孤立深めた末に…
事件の2か月前、夫は職場に復帰しました。
同じ頃、それまで担当していた保健師が交代しました。
1人だけでこなさなければならない3人の育児。

「会話する気力がなくなり、先の見えない育児のつらさに死にたくなった」

法廷では母親が、自殺サイトを閲覧していた履歴も明らかにされました。事件の1週間前、夫に「次男の泣き声を聞くと死にたくなる。乳児院に預けたい」と打ち明けました。

異変を感じた夫は妻の実家に相談しましたが、状況はすぐには変わりませんでした。法廷での最終陳述。母親は涙ながらに次男への気持ちを語りました。

「何の罪もない次男に痛い思いをさせてしまって本当に申し訳ない気持ちです。夫や家族からも大切な次男を奪ってしまいました。次男は一生、心の中にいます。11か月しか一緒にいられなかった。本当にごめんなさい」