★小学校の運動会中断、父親の命救う連携 思い出へ再開
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 栃木県日光市藤原の鬼怒川小学校(武田幸雄校長、92人)で9月25日に開かれた運動会で、児童の父親が突然意識を失い、倒れる出来事があった。
居合わせた看護師らが蘇生措置を施し、救急車で病院に運ぶ一方、学校側は運動会を中断し、無事を祈った。
一命を取りとめた父親は「卒業する子どもたちに思い出を作ってほしい」とメッセージを寄せ、翌日、運動会は再開された。

 父親が倒れたのは午後2時前。20種目のうち18番目の競技で、保護者らによる「大玉おくり」に参加し、退場するときだった。
看護師資格を持つ大島由子(よしこ)・養護教諭(59)や観戦していた看護師ら数人が素早く会場外に運び出し、ブルーシートで囲んで救命措置に入った。

 心筋梗塞(こうそく)の疑いがあると感じた大島教諭らは、元消防署長でスクールガードリーダーの沼尾成孝さん(71)に、
備え付けの自動体外式除細動器(AED)で心臓に電気ショックを与えてもらい、看護師らが心臓マッサージを続けた。
治療に当たった医師が「本来なら後遺症が出てもおかしくなかったが、初動の救命措置が見事だった」とたたえるほど手際の良い措置だった。
父親は細い血管が詰まっていたという。

 中断した運動会で残った2種目は、4〜6年生が紅白に分かれて争う騎馬戦「決戦!たかはら山」と、「紅白リレー」。
地域住民と一つになって盛り上がる最大のイベントだった。武田校長はこの運動会で、仮装して大型バイクで登場するなどムードを盛り上げていたが、父親が搬送される事態にいったんは中止しようと決めた。
PTA役員らを集め、「命に関わる重大なことが起き、児童の心のケアに務めると同時に、みんなで無事を祈りたい」と呼びかけた。