★人工的な香りに苦しむ子ども、柔軟剤・消臭剤・化粧品で「香害」…頭痛や吐き気など体調不良に

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230621-OYT1T50329/

 柔軟剤や消臭剤、化粧品などの人工香料により体調不良を訴え、化学物質過敏症と診断される人が増加する中、兵庫県宝塚市教育委員会は市立小中学校の児童・生徒の全保護者を対象に「香害」に関するアンケートを実施、結果を公表した。8%が人工香料により子どもが体調不良を起こしたことがあると回答。市教委は、給食当番で柔軟剤の香りが残る共用の白衣を使わず、自前のエプロンの持参を認めるなどの対応をとる。

 アンケートは先月、保護者1万6882人を対象にネット上で実施、18%の3087人から回答を得た。
 子どもが人工的な香料を不快に感じたことがあるとしたのは859人(28%)、体調不良を起こしたことがあると答えたのが241人(8%)にのぼった。

 自由意見では、学校給食の配膳時に、児童生徒が着用する学校の白衣に関するものが208件あった。給食当番が代わる際、各家庭で洗濯をし、柔軟剤を使うケースが多い。「白衣のにおいがきつくて子どもが給食当番をいやがる」「肌荒れを起こす」「(親が)アイロンがけをするとき、頭痛と吐き気に悩まされる」の声があがった。

 このほか、「学校説明会で隣の人の香水で気分が悪くなった。人の集まる所では控えてほしい」「神経質になりすぎ窮屈さを感じる。各家庭の 嗜好を制限するのはどうか」という意見もあった。

 アンケート結果を受け、市教委は学校の給食白衣の着用が難しい児童生徒については、家庭で用意したエプロン、三角巾の使用を認めることを明確化した。授業参観など屋内の学校行事の際には、保護者に香料を控えるよう啓発するとしている。

 昨年8月に発足し、国会や地方議会の議員ら約100人で構成する「香害をなくす議員の会」代表世話人の寺本早苗・宝塚市議は「アンケートで実態把握をしたことに意義がある。周りの人が人工的な香りで苦しんでいるかもしれないと思いを巡らせるなど、香害について知り、考えてもらうきっかけにしてほしい」と話している。