★100m先から「助けて」の声…男子児童が川に転落した高齢男性発見、救助につなげる

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 川に転落した高齢男性の命を救った千葉県鴨川市立鴨川小学校3年の男子児童(8)が、鴨川署から感謝状を贈られた。約100メートル離れた場所から聞こえてきた「助けて」という声に素早く反応するなど、大人も驚く対応が人命救助につながった。

 男子児童が助けを求める声を聞いたのは、5月1日午後4時半頃のことだった。小学校の学童クラブに参加していたこの児童は、体育館のトイレから校舎内に戻る途中、川の方から人の声がするのに気づいた。

 学校のすぐ隣には加茂川が流れている。声がする方向に視線を送ると、約100メートル離れた支流に、男性がうつぶせで倒れているのを見つけた。驚いた児童は、学童クラブの支援員に「『助けて』という声が聞こえる」と伝えに行き、学校関係者が119番した。

 救助されたのは、70歳代の男性だった。意識はあったものの、高さ約3メートルの土手から落ちて動けない状態だったという。当時の川の深さは30センチ程度。即座に溺れる心配はなかったが、署によると、胸などを骨折していた疑いがあり、発見がもう少し遅れていたら、体温の低下などで命に危険が及ぶ恐れもあった。

 鴨川小学校で開かれた贈呈式には、児童の両親も出席した。父親(40)によると、児童は普段から川をよく眺めており、両親には「風景がいつもと違うように見え、男性の倒れている場所がわかった」と説明したという。

 感謝状を受け取った児童は、「うれしい」と控えめな様子で喜びを表現し、父親は「息子が知らず知らずのうちに人を助けて驚いた」とほほ笑んだ。