★実は学校にとって負担増 大阪府“高校完全無償化”のカラクリ

https://news.yahoo.co.jp/articles/f9876f2df0add5a4a8277eccc8e9b2b098957e23

 大阪府が検討している高校の「授業料の完全無償化」は、実現すると所得や子どもの数に制限なく、公立・私立を問わず授業料が無料になる制度です。

 現状は、世帯年収に応じて、一定額をそれぞれ負担していますが、新制度では世帯年収や子どもの数に関係なく、高校の授業料が「完全に」無償になります。

 一方、議論されているのは授業料が60万円を超えるケースです。大阪府では現在、国と府の補助金をあわせた上限額を60万円と定め、それを超える授業料については年収800万円未満の世帯を対象に、私立学校側が負担する「キャップ制」という制度が敷かれています。
 今後、所得制限が撤廃されると、これまで保護者が負担してきた分も合わせて、すべて学校側が負担することになるのです。

 年間授業料が60万円を超える私立高校は全体の約半数にあたる41校になります。支援制度に加入していない1校は除きます。
 もし実現すると、年間で最大約8000万円の負担増となる学校もあり、41校で合わせて8億円の追加負担が生じるといいます。

 このため、大阪府私学連合会は「完全無償化の理念には賛成するが、新制度案には賛同しない」と意見を集約しました。
 その理由は、
・支出が増えて、私学ならではの特色が失われる
・教育の質の低下が懸念される
 などをあげています。

 こうした状況から私立学校側は、
・行政負担の上限額(現行60万円)を上げてほしい
・府から交付される私学助成金(昨年度32万6700円)を上げてほしい ※全国ワースト2位
・「授業料」以外で保護者から費用を徴収させてほしい
 と要望しており、「せめてこのうち一つだけでも、なんとかしてほしい」と訴えています。

 「授業料の完全無償化」を公約に掲げて4月の大阪府知事選で再選を果たした吉村知事は、「丁寧に説明をして理解を求める」一方で、私学自ら「寄付」を集めるなどして新たな財源を確保すべきだと話しています。

 私学連合会は7月に、知事と直接会ってこの問題を話し合う予定です。