★宮城県こども病院 心臓手術で低酸素脳症 重度の障害

仙台市の宮城県立こども病院(呉繁夫院長)は6日、県内居住の小児患者に心臓手術を行ったところ、人工心肺用送血管がはずれ、脳への血液供給が一時的に不十分となり、重度の障害が残る医療事故が発生したと発表した。

病院によると、昨年2月、先天的に右心房と左心房の壁(中隔)がない心房中隔欠損症の患者の手術を行おうと、大動脈と送血管を接続した後に出血が始まった。さらに、原因の確認に時間がかかったため、少なくとも約18分間、患者の脳への血液供給が不十分な状態になった。患者は低酸素性脳症に陥り、日常生活で介護が不可欠となる重度の後遺障害(1級)となった。人工心肺から体内へ血液を送り出す送血管が抜けていたのが原因だった。

事故が起きた手術では、脇の下を切開する腋窩(えきか)側方切開が採用されたが、この方法は傷口が目立ちにくくなるというメリットの半面、人工心肺のリスクが高くなり、難易度が上がるとされる。執刀した医師は「目視での確認を怠ってしまった」と話しているという。

記者会見した今泉益栄理事長は「安全確認が不十分だった。多大なる苦しみを与えてしまったことに心から深くおわびを申し上げる」と謝罪した。今年6月2日に示談が成立し、病院は賠償金を支払った。

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