2013年10月6日、渡辺明竜王(当時)は優勝候補の一人としてこの期のNHK杯戦に初登場。
にもかかわらずあまり良いところ無く負けてしまった。

まさか初戦敗退とは!

渡辺ファンは唖然とし、大いに落胆したものだが、本人もかなり気落ちしたのだろう。

感想戦も大して熱が入らず、

「いやあ、ありがとうございました」

とついに自ら終了宣言。

困ったのは解説者の佐藤天彦と聞き手の矢内理絵子。
まだ放送時間が五分ほど残っている。
さあどうやって場をつなごう。

佐藤、なんとかその場を取りつくろいながら、「では▲4二飛のあたりをもう一度」と促したのだが、渡辺、ぜんぜん乗り気でない。

口に出たのが、

「そんなのやってもしょうがない」

解説者が気安い友人・佐藤天彦だったから思わず本音がこぼれたのだろうが、見ている方は驚いた。

なにしろ、NHK杯感想戦史上、誰も言わなかった禁句を、渡辺は画面に刻みつけたのだから。