桜の花びら舞う春の午後、高見泰地は将棋会館の部屋でテレビを見ていた。
昭和を振り返る番組。レッツゴー三匹の漫才がはじまった。若い高見はちょっとそれに興味を引かれた。

突然、中学生の男の子が部屋に駆け込んできた。

少年「たっ高見先生。ぼ、僕を弟子にしてください!」

高見「えっ?あ、あぁごめんね、僕、まだ弟子を取るには早いと思ってるんだ」

少年「なんでもやります。石田先生の介護、勇気先生のコンタクト洗浄も。なんでもします!」

高見はハッと気づいて少年の顔を二度見した。眼鏡をかけた少年の顔は昔の増田君、
いや、昔の自分と瓜二つではないか!

少年「先生のトークを聴いて思ったんです。これだ、このトーク力があれば食べて行ける」

高見はふとテレビに目をやった。レッツゴー三匹の漫才がオチを迎えた。観客の割れんばかりの拍手。
高見の心にある野望が芽生えた。