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記事より


 対局の3週間ほど前までに日本将棋連盟手合課と日程調整をし、のち対局通知が送られ確認のサインをして
対局日が公式に発表される。当日は携帯電話やタブレット端末など電子機器が持ち込み厳禁のため、
別室の保管場所に預ける。さらに対局室に入る前には空港のセキュリティチェックに用いるような
金属探知機を使って厳密な検査を行う。これらは一昨年秋、将棋界で起こった
「スマホカンニング冤罪事件」を受けて行われるようになったもの。筆者は棋士やアマトップの人たちが
不正を行うほどモラルが低いとは思っていないけれども、1997年にコンピュータが人間の世界チャンピオンを破った
チェスの世界ではかなり前から不正防止対策が行われていたので、将棋界が国際標準に追いついたと考えるべきなのだろう。

 対局場は関西将棋会館「御上段の間」。「詰将棋ハンドブック」シリーズの著者として有名な
浦野八段とは小学生の時以来40数年ぶりの取り組みで、床の間に掛軸のある特等席での対局だ。
振り駒で先後を決めたあと午前10時に記録係を務める奨励会員の合図で初手▲7六歩を指した。
ここから約10時間半におよぶ長い一日が始まった。

 開始から小一時間で担当の奨励会員が昼食の注文を聞きに来る。昼食休憩は正午から40分、
別室の食事場所には出前の料理が並べられお茶まで用意されていた。
(続く)