https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13300266.html
■勢い・読みの正確さで戦う 将棋・豊島将之八段(27)

 新年早々に開幕する王将戦七番勝負で久保利明王将に挑戦します。タイトル挑戦は4度目。獲得は、まだです。今回は、最初のタイトル挑戦と同じ舞台、同じ相手。その時は自分の実力が全然足らない感じでしたが、今は相当、力がついていると思います。
現在の自分の長所と思う、勢いや読みの正確さで戦います。名人挑戦権を争うA級順位戦も5勝2敗で先頭集団にいます。残り3局、全力を出し切りたいと思います。

 昨年は「好調だったね」と言われることが多く、自分でも「これまでやってきた勉強が、ようやく形になってきた」と手応えを持てました。

 2014年の第3回将棋電王戦に参加し、将棋ソフトと対戦したのをきっかけに、棋士との練習将棋をやめ、その代わり将棋ソフトと対局する勉強方法に切り替えました。自分の将棋とソフトの将棋は相当に隔たりがあったのですが、最近、うまく重なる感じになってきました。
例えば、A級の羽生善治先生との対局で中盤、角を切る手を指したのですが、従来の自分では指せなかった手。序中盤の感覚的なところで、どうしても重ならない部分もありますが、「あいまいなまま置いておく」ことも出来てきました。

 昨年は関西勢が5人、タイトルに挑戦して、うち奪取は2人。関西の奨励会(プロ棋士養成機関)幹事だった畠山鎮(まもる)七段が「厳しく修行する」雰囲気を根付かせてくれたおかげと思います。関西には有力な若手棋士が多く、名前を挙げだしたら、きりがないです。

 私と同じ愛知県出身の藤井聡太(そうた)四段は、15歳という年齢の割に完成度がものすごく高い。実力的にトップの人とそんなに変わらないレベルに来ています。自分がタイトルを獲得、保持できれば、将来、タイトル戦で藤井さんとの対決もあるかもしれませんね。

 自分が活躍できる時間は限られていると思います。自分が一番得意な「将棋を指すこと」に悔いが残らないよう打ち込みたいです。