居飛車穴熊を目指した陣形から、玉頭戦を真っ向から受け止め
再タイトルを狙う実力者にふさわしい終盤巧者ぶりを見せつけた広瀬九段が、
町工場の冴えないオヤジを彷彿させる風貌とは対照的に、一手違いの終盤戦に持ち込み、
初出場の花道を飾って散った阿南健治もとい安用寺六段を
鮮やかに破った見応えのある一番だった。

市役所の戸籍係長のような実直な風貌の北浜八段の解説もわかりやすかった。
去り際を模索するが如く、
我が身を焦がして精一杯生きる蛍を想わせる甲斐三段の記録もよかった。
くませみ怖いよーと女の子みたいな可愛い事をいうくせに
司会はきちんとこなすお肌がきれいなワダーキーの初登板もよかった。