こーちゃんが倒れてしまった。この酷暑の中、生放送のスタジオに着くなりバッタリと。
頭痛、吐き気、めまい、ぐったりして水を飲ませるにも一苦労、椅子に座るなんて到底無理。
そんな話を聞いて、僕はこーちゃんの代わりをするべく慌てて駆けつけた。

休憩がもらえて、やっとこーちゃんに会えた。
こーちゃんは両手でおでこと目を覆い、ソファーから落ちそうなくらい身をよじっている。
「こーちゃん」呼びかけても返事もない。
病院に連れて行かなくていいのか不安になった。
こーちゃんが手をずらした。僕はこーちゃんの虚ろな目をのぞき込んだ。
「せ……」こーちゃんは吐き気がしたらしく口を押えた。

数時間が経つと、こーちゃんの体調はましになってきた。
こーちゃん曰く、ショックなことがあったのと、この暑さとで食欲が無くなり。
太ってるんだから無理に食べなくてもと、ここ数日ろくに食べず。
そして今日炎天下の中スーツを着て歩き、熱中症になったのだと思うとのこと。

夕食休憩の時間、こーちゃんはフラフラしながらカメラの前に座った。
まずは今日の仕事が出来なかったことへの謝罪。
そしてこの前の僕とこーちゃんの放送への、視聴者の書き込みがあまりにひどく、そしてそれが画面上を流れ苦情が来た話。
「確かに僕は先生の手元を見ず、先生の話もしっかり聞かず、うっとりと先生を見つめていました。本当にすみませんでした」
「先生が同性愛者でないことはみなさんご存知のはずです。僕と先生の間に肉体関係などあるはずありません。先生にこれ以上ご迷惑をお掛けするわけにはいきません」
そんな感じのことを言って、こーちゃんはパタッと倒れてしまった。
画面上をこーちゃんを心配する書き込みがズラズラ流れているのが見えた。