名人と竜王は同格とされる。しかし読売新聞社は竜王戦を「将棋界の最高峰」と称している。
その論拠は賞金額である。

竜王戦はタイトル戦の中で最も高い賞金を誇り、第29期(2016年)の優勝賞金は4320万円、敗者賞金は1590万円。
対局料は竜王が1450万円、挑戦者は700万円である。(第19期=2006年)

名人戦の賞金・対局料は公表されていないが、総額では竜王戦を下回るとされる。
だが、名人に支給されるのは賞金と対局料だけではないのだ。

名人戦の挑戦者は、A級順位戦の優勝者がなる。
A級棋士10名が総当たりのリーグ戦を行い、最高成績の棋士が挑戦者になり、下位2名はB級1組に降級する。
このA級順位戦の対局料は1局あたり100万円程度とされている。
そして、この対局料が、実は順位戦を指さない名人にも支給されているのだ。俗に名人手当と呼ばれる。
これらを加算すると、名人と竜王の実入りはさほど変わらないと推測される。