《自身の将棋を挙げるならば、どの一局になるのでしょう。
「そうですね...…竜王戦の搏cさん(康宏四段 当時)との将棋でしょうか。29
連勝の将棋ということもありますが、内容に関しても、 3五歩と仕掛けてまず
まずという安易な認識に基づいてしまった辺りの序盤の甘さが出た一方、中盤で
▲7七桂△8二飛▲6五桂と跳ねていったところは一見軽そうだけど
攻めになっていて、うまく指せた気がしています。良くも悪くも自分らしさが出
た将棋だったと思います」》

《(17年度の一手)17年度での自らの「この一手」を挙げるなら。
「順位戦の梶浦さん(宏孝四段)との将棋で、4二から3一に引いていた自玉を
△4二玉と戻した一手などでしょうか。玉が相手の攻め駒に近づきますし、戻し
てしまう手なので以前はあまり考えなかったような一手なのですが、1~3筋か
ら遠ざかって、4二の地点でもうまくバランスを取ればそれなりには堅いという
感覚を持って自玉の安全度を最後まで見極めて指すことが出来たかなと思ってい
ます。あとは……新人王戦での古森さん(悠太四段)との一局で飛銀両取りの
局面で▲5八金左など……。昔は受けに回ることが少なかったので、
今までの自分の将棋にはなかった一手なのかなと思っています。あと……攻めの
一手で言いますと、糸谷先生(哲郎八段)との一局の4三歩でしょう
か。4六銀でも先手は指せていたとは思うんですけど、 4七歩成などいろい
ろと際どい順を背負うことになる中、リスクを見極めた上で踏み込むことが出来
たと思っています。》

その他、広瀬戦44桂馬についても目的の設定が妙手の発見を助けるという興味深い考察をしている。