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名人戦第6局は佐藤名人がややリードか、封じ手と2日目の展開を徹底予想 将棋を100倍楽しむ! 2018/06/19

先手の佐藤天彦名人の初手▲7六歩に対し、羽生竜王の2手目は意表の△6二銀。報道陣や観戦者の退室前だった対局室の空気が一瞬変わった気がしました。以下▲2五歩、△3二金、▲7六歩、△7四歩、▲2四歩、△同歩、▲同飛、△2三歩、▲7四飛と進み、先手が早くも一歩得を果たします。

一昔前なら考えられない進行でしたが、最近ではプロの公式戦でも時折見られる立ち上がりで、後手は一歩損の代償に銀を素早く繰り出す手得と、先手の飛車の不安定さを主張しています。角換わりや横歩取りといった相居飛車の主流戦法でやや後手の旗色が悪いという現状も、研究を外して力戦模様へ誘導する2手目△6二銀の出現の一因かも知れません。

ただし、個人的には7筋での一歩損は、将来△6四銀型に構える展開で△7五歩と仕掛けることが不可能になることと、後手の歩切れや持ち歩の差(例えば横歩取りでも後手が一歩損しますが、持ち歩は先手・後手共に2枚となることが多いです)が大きく、とても後手を持って指す気がしません。この辺りは棋士の専門的な解説を是非お聞きしてみたいところです。

ここまでは昨年12月に行われた叡王戦本戦、藤井聡太四段vs深浦康市九段戦と同一局面です。その将棋は後手の深浦九段が△2四歩と、角頭の歩を突いてまで先手の飛車の捕獲を目指す突っ張った指し回しを見せましたが、的確に対応した藤井四段がリードを奪いました。ただし勝負は終盤に深浦九段が粘り倒して逆転勝ちしています。