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今期のA級順位戦(渡辺明竜王―郷田真隆九段)でも、同じようなことがありました。角換わり腰掛け銀の流行型から攻め合いとなり、先手番の渡辺は郷田の玉を受けなしに追い込みました。その局面で渡辺の玉に即詰みがあるかどうかが焦点ですが、きわどく逃れて先手が勝ちという結論がすでに出ていました。
ある若手棋士の定跡書にも紹介されています。しかし郷田には何か秘手があるかもしれないと、控室の検討陣は注目していました。結果はやはり即詰みがなく、渡辺が勝ちました。感想戦で渡辺に「定跡なので」と言われた郷田は、「そうですか、定跡ですか…」と茫然としていたそうです。

このように流行型の将棋を指すには、日頃から研究を重ねておかないと「知らないで負ける」ことがあります。しかし、流行型ばかりで研究会の将棋をなぞるような風潮は、プロ将棋の魅力という点で果たしてどんなものでしょうか…。
(引用終り)