――リーグ終盤は木村九段も敗れたら次節で斎藤慎太郎王座にも黒星がついたりですとか、シーソーゲームのようにもなりました。落ち着かないというのはそういうところもありますか。
木村 自分が安定してないような感じだったので。渡辺さんとかはそりゃ全勝してるから、「充実の〜」ってなりますけど、私はたまたま上がったようなもんなんで。そういう点では、運がよかったというか、一生懸命やった甲斐があったなあと思います。

――A級に上がるのは今回が2回目となりますが、初昇級の前回と今回とでは気持ちの面で違うところはありますか。
木村 王位戦(2016年の七番勝負)負けてから、もうちょっときついんだと思ってやってましたんで。そのあと内容もあまりよくなかったもんですから。年齢的に、もう伸びないんじゃないかと思って、正直きついのかなあ、なんて。
だから、なんでこうなったのか(昇級できたのか)分かんないです。まあ、たまたまついてただけで、実力が伴ってないような気もするので。(来期のA級は)楽しみよりも不安ですかねえ。

――2月の12回戦が終わってからは落ち着かなかったということですが、「何が何でも勝たないと」という気持ちでしたか。
木村 いや、いつも通りだなと思いながらやってました。そういう点ではあまり動じなくなったというか、淡々としてるような気がします。もう、一生懸命やって駄目ならしょうがないやと思って。前は(大きなチャンスを逃したときは)悔しくてしょうがなかったんですけど。変わったとすればそこかなという気がします。
毎年落ちることばっか考えてたんで、そういう意味ではいい緊張感を持てる年度末で、幸せかなあと、幸せだと思えるようにしようと思って過ごしてました。こういういい意味での緊張感を持って過ごすことはもうないんじゃないかと思ってましたからね。暗くなっちゃうけど、そういう感じで。もう常にそうやって生きてんすよ。

――木村ファンの皆さんはA級昇級にお喜びでしょうし、さらなる活躍を期待されていると思います。
木村 でかいことはいえませんね。ほんと月並みですけど、大事に指したいなと思いますね。

(睡蓮)