弱いハム将棋はなぜ偉大なのか? 人間が「負けてあげる」ことの難しさ
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190826-00139913/

ハム将棋
http://www.hozo.biz/shogi/

ネット上でハム将棋っていうのがあるんですね。「ハム」って何かというと、ハムスターのことなんです。
キャラクターがハムスターでできていて、対局してくれるんですけど、めちゃくちゃ弱いんですね。

出典:将棋を世界に広める会 設立20周年 NPO法人化15周年記念シンポジウム 7/7 羽生善治名人記念講演

人間が「負けてあげる」ことの難しさ
「子どもに将棋を教えるコツは何でしょう?」

親御さんからのそうした趣旨の質問に対して、羽生九段の回答は、ほぼ決まっています。

「負けてあげてください」

羽生九段は以前から繰り返し、そう述べています。
羽生九段が言ってきたことは、実に正しかった。筆者が改めてそう認識させられたのは、藤井聡太少年の出現を目の当たりにしたからです。

天才少年の伝説は、5歳の時に、おばあさんに将棋を教わったところから始まります。
使った盤駒は、くもん出版から販売されている『スタディ将棋』です。駒が大きく、駒の動かし方がデザインされている点に特徴があります。

聡太少年は小学校の卒業文集に、「ぼくと将棋」と題して、以下の一文を寄せています。

将棋を覚えたのは、確か五才の夏だった。祖母がどこからか盤と駒を出してきたのだ。
駒には動かし方が書いてあったので、ぼくにもすぐ指す事ができた。相手は祖父や祖母…。
毎日のように隣りの祖父の家に行っては将棋を指していた。だが、三人共肝心の詰め方が分からない。

出典:藤井聡太・小学卒業文集「ぼくと将棋」
 聡太少年は5歳の時に将棋に触れ、それほど時間がかからないうちに、おばあさんには勝てるようになりました。
これが実に大きかった。もしここで、おばあさんが将棋が強くて、
孫の聡太少年をこてんぱんに負かしていたら、どうだったでしょうか。

「最初の頃は単純に、勝つのが嬉しかったです」

藤井聡太現七段は、そう回想しています。