「くるっぽ〜!」
「おお、ポッポちゃんもお疲れじゃ。鳩舎に戻して休ませてやろう」
「では、わたくしが」
「お恒も疲れておるのに済まんな。早く戻って参れ。今日はお恒の酌で酒を飲む」
「御意」

「さあポッポちゃん、良い子だったね、ゆっくりお休み」
「くるっぽー」
「兼井殿、ちょっとお話を伺っても宜しいか?」
「きゃっ!屋舗殿!突然鳩舎の天井裏から!何事でございましょう?」
「兼井殿、この二泊三日、誰と何処に行っておられました?」
「わたくしは近堂誠太郎と寝狸磨峠に居りましたが」
「ほう。その近堂誠太郎は前任地から寝狸磨に戻る旅の途中に腰を痛め、ここ数か月家に臥せっておりますぞ」
「ええ?では、わたくしは誰と?」
「兼井殿、とぼけるのもいい加減にしていただきたい」
「とぼけてなど、おりませぬ!」
「兼井殿が若い武士をたぶらかしているという噂もありますが?」
「わたくしには殿がございます!何でそのような…」
「言葉ではいくらでも言いつくろえます。我々も兼井殿を信じたい。
しかし、様々な状況証拠が…、ん、何やら城の方が騒がしいですな?」