激流に流されそうになった真恒の体を近堂誠志郎の若くたくましい腕が捕らえた。
必死で縋り付こうとする真恒の白い指が近堂の背に埋まり、爪がその広い背中に幾条かの紅い線を残す。
近堂は真恒の小柄な体をしっかりと抱え込むと流れに逆らって強く胸元に引き寄せ、夢中で浅瀬に向かって体を進めた。
ぐったりしている真恒の身体を揺さぶり『兼井殿、しっかり!』と声をかけると真恒がうっすらと目を開ける。
『ああ、近堂殿…かたじけない…』とか細い声で礼を言い、起き上がろうとする真恒の身体を、近堂が抱きしめる。
『急に動いてはいけません』『近堂殿は力がお強いのですね…』
『…兼井殿が華奢でいらっしゃるから…』『あの、もう大丈夫です、手をお放しください』『今少しこのままで…』
『こ、近堂殿…?』近堂の腕に力が籠められ、真恒の頬がその厚い胸板に押し付けられる。
『初めてお会いした時から…』『いけません…!わたくしには殿が…』
身をもがき近堂の腕から逃れようとする真恒の身体に近堂がのしかかる。その充実した体の重みが心地よい。
『真恒殿は…あんな老人との閨に満足しておられるのですか?』『お、お離しください!』
『離しませぬ』『…ああ…』近堂の熱い抱擁に抵抗をあきらめた真恒はぐったりと近堂に身を任せる。
近堂の唇が真恒の首筋から鎖骨、そして胸へと降りてゆく。真恒の唇から、いつしか甘いすすり泣きの声が漏れるのでった…
って展開があったかの知れないじゃない〜」
「殿って前世は腐女子だったんですか?下らない妄想で悩んでないで早く兼井殿に謝ったほうがいいですよ」
「真恒はこんな老人の謝罪なんか欲しくないに決まってるんだ〜!シクシクシクシク・・・・」