選んでいただいた着物を着て、僕は戦場に立ちました。
不屈隊はその名の通りとばかりに強者が集い、この演習の優勝候補とも名高い隊です。
しかし僕は不思議と緊張していませんでした。斎太郎様が選んでくれた着物の効果でしょうか。それとも彦様が側にいてくださるからでしょうか。
いつも一人で戦う時には何も思わないのですが、お二人が側にいるととても気持ちが安らぎます。

「瑠璃光くん、それでは私が先に向かいましょう」
「あの……彦様。僕が、先頭を行きます」
「瑠璃光くん、無理はしなくていいんだよ」
「えっと僕……実は振り筒の心得があります。だから……きっと相手も油断すると思って!」
「ほんまに?それは心強いんやけど……危なくなったらすぐに下がって、僕に声をかけてくださいね」
「はい、斎太郎様」
「瑠璃光くん、それでは瑠璃光くんにお任せしましょう。瑠璃光くんに祝福がありますように」

彦様は僕のおでこに口付けをして下さいました。
続けて斎太郎様も、僕の耳に口付けを落として……不思議と照れはありませんでした。
お二人の為にも、この瑠璃光が活躍してみせます!