無事当日の朝に。会館の最寄り駅で降りて人の居ないところに立つ。先生は後2分くらいでここを通過するはず……先生来た来た。くっついたら怒られるから離れて歩く。
「こーちゃんあれ何?」
「人ですね……」
会館の右と左に人が10人ずつくらい。こっち側が聖治くん応援隊で、あっち側が忖度を許すな隊みたい……柳下先生が捕まってる……
「さっさと通りすぎるよ!」
先生の足が速い。僕もついて行こうとしたら「あの白髪の人もプロ?」って聞こえてきて。
「あの方は刑部誠人九段です。私は桐生幸治六段です。よろしくお願い致します」
そうしたら「これ聖治くんに」ってプレゼント渡されたり、あっち側の人に「プロの意見を聞きたい」ってビラを渡されたり。なかなか会館に入れず……
やっと入ってキョロキョロ、先生待ってませんね。
「桐生先生おはよう、お腹お揃いだね」
プンスカ全然違います園木先生みたいに出てません。
「柳下先生今が人生最大のモテ期だって」
柳下先生はファンの若い女の子と触れ合ってのぼせた顔を冷ましている。機嫌良さそうで一安心。