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【凄八】飯島栄治 12【あっ】

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0537名無し名人
垢版 |
2021/05/31(月) 07:09:20.43ID:TlZY2PQi
落語 「かぶきくらべ」その1

梅雨の中休みかカラリと晴れ渡った巳の刻の江戸の町、凄八親分はキセルをプカリプカリと嗜みながらなんとも手持ち無沙汰な様子でございます。そこへおっとり刀で子分の慈七がやってまいります。
慈七「親分、大変だ、大変だ」
凄八「どうした慈七、お前の大変は毎度すこしも大変ではないぞ、ホントの大変というのはワシが将軍様の武道ご指南役の羽生善右衛門さまを素手で負かしたときの」
慈七「親分、待った、そのおはなしはまたゆっくりと聞かせていただきますがいまはそれどころではない」
凄八「・・・」
慈七「江戸で一番のかわら版屋のしぶや屋はご存知で」
凄八「こちらが読みたくもないかわら版を家に放り込んであとから銭をとりにくるかわら版屋だろう」
慈七「まぁそれはちょっとおいておきまして、そのしぶや屋が町内の伊達ものを一堂に集めて江戸一番の傾奇者選びという趣向を催しておりまして」
凄八「それはなかなか面白そうだな」
慈七「趣向は結構なんですが、町内の伊達ぶり自慢を次々と破っている大坂からきた上方ものがなんと一番になりそうなんで」
凄八「それは三代続く江戸っ子としては捨てておけんな」
慈七「そうでござんしょ、お役人さまからここは帝釈天でうぶ湯を浴びた凄八親分にぜひ江戸っ子の心意気を見せてほしいと」
凄八「帝釈天は柴又で、門前仲町は八幡宮だがな」
慈七「そうでしたっけ (汗」
凄八「まぁいいが、かぶき比べといってもワシはいま着ているこの羽織しか持っていないが」
慈七「それはもうお役人さまもよく分かっておられますが、なにしろ立っているだけで周りにあたえる押し出しの強さは凄いものがある、上方の傾奇者を負かすのは凄八親分しかいないと太鼓判でございますよ」
凄八親分、慈七におだてあげられ一張羅の羽織で傾奇者選びの会場にやってまいります。

〜後半に続く
0538名無し名人
垢版 |
2021/05/31(月) 07:11:13.58ID:TlZY2PQi
落語 「かぶきくらべ」その2

お上直轄の馬場の周りを竹柵で囲った会場にやってまいりました凄八と慈七の両人、なかでは判定をつとめる江戸の綺麗どころ100人が試合にでる傾奇者の名前を記した札をもって待ち構えております。全員が同じ名札をあげれば勝者が決まるという仕組みでございます。
慈七「親分、あそこで見栄をきっているのが上方からきた大橋耀龍という歌舞伎役者ですぜ、なんとも派手ないでたちですな、茜色というんでしょうか、いやちょっと違うかな、南蛮渡来の酒のような色ですかねぇ、豪華な仕立ての陣羽織に金糸で昇り竜の刺繍、見事にかぶいていますな」
凄八「負けるとひたいに墨でバツ印をつけられるのか、これは負けられんな」
慈七「親分、名前がよばれましたぜ、前にでて思い切りかぶいてくださいましな」
凄八親分、最初は慎重にまいりますが、よれよれの羽織で格好をつけてもなかなかサマになりません、相手はどんどん仕草も大きくなり審判のほとんどが相手方の名札をあげ出したとき、今が決めどきと判断した耀龍が馬場の隅に繋いであった馬にまたがり最後の決めの恰好に入ります、ところが馬が暴れ出し落馬!その瞬間、凄八親分が疾風迅雷で耀龍の背後にまわり見栄をきります、いやその姿の粋なこと、万雷の拍手とともに勝負ありました。
慈七「いや親分、見事な逆転勝利、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし、相手が馬から落ちてウマくいきましたね」
凄八「慈七、そんな豊川稲荷のお狐さまでも言わないような寒い洒落でおとさないでおくれ」
慈七「へぇ、ではどうすれば」
凄八「カブキだけに、おとさずに揚げておくれ」
おあとがよろしいようで..
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