時代が時代だけど 弦さんの最新著書の⬇とか当に「時の覇者vs覇者に成れないライバル」の構図で
今見る分には興味深いけど すごく嫌w

テーブル席に向かい合って座りながら、升田先生はビールのグラスを傾け、僕に凄んでみせた。
「お前は誰だ」
「カメラマンの弦巻です」
「大山の手の者か」
「ただのカメラマンです」 僕が大山先生に近いと思われているのだろう。
「はい」と答えたら一体どうなるのかと思ったが、升田先生はなおも僕を試し続ける。
「いまの将棋連盟、大物は誰だ」
「ちょっと僕には分かりません」
「あのほおずき頭(大山先生)は大物か」
「……」
そのうち、少し酒が回ってきた僕はついこう答えてしまった。 「大物は、いないのではないでしょうか」
するといきなり升田先生が立ち上がり、腹の底から声を響かせた。
「それはこの俺を入れてのことか!」
唖然とする周囲の客。升田先生の口から飛び散った寿司の米粒が、僕の服に降りかかった。するとゆっくり席に座った升田先生が、その米粒を少しだけ手で払ってくれた。