おい言われてんぞ?


――王座戦第4局で、藤井さんが指した122手目の「5五銀」に対して、永瀬さんは「5三馬」を指しました。その瞬間、永瀬さんの勝利を99%と予測していたAIの評価値が10%以下にまで一気に低下し、大盤解説や報道では「これが“運命の一手”となって勝敗を決定づけた」と評されました。

永瀬 勝手な説明や解説が出回っても、いちいち反論するのは時間のムダで、性格的にも興味がありません。間違った説明でも、素人の方がそれで何か分かった気になって、一つの“娯楽”として成り立っているのであれば、それでいいと思います。

 でもそれは休憩中の食事に関する情報のようなもので、自分には関係ないことですが……そもそも人に対してこうして発信すること自体、自分としては、本当は意味がないとも思っています。

 プロ棋士のなかでも、あの状況を深く理解できる人は、本当に一握りしかいないでしょう。