>>87
小説随筆現代語訳、どれも面白いですよ。長そうな至福千年や狂風記も大した
量ではない。しかもこの二つこそ、このひとの全文章中最もリーダブルな読物です。
この人には、何から読まねば、とか「○と×、△のナンチャラ●部作」みたいなものは
ありません。何も考えず、暇に応じて目につく端からジャンジャン読んで差支えない。
古本屋の百円棚でアレもコレも見ますから、五百円玉一枚あれば随分時間も潰れます。

昔のスレでは、当時新刊書で買えた講談社文庫の新かな「鷹」が大人気でしたね。
かよひ小町が面白かったのなら、その前後の處女懐胎や焼跡のイエス、いすかのはし、
飛梅、雪のイヴなんかも如何でしょうか。初期の小説でわたくしが好きなのは
千羽鶴と鐵拐(カイは木扁)です。

岩波選集は通勤通学昼ごはんのお供に丁度よい新書9ポ2段サイズ。一冊々々のリストも
スッキリしてて最高なのですが、コイツが夷齋自選自編のヤラシさ、漢語調の成句や造語に
まずルビというものが無い。鴎外選集や露伴随筆もですが、「日本人なんだから
読めるでしょう。何かモンダイありますか。」みたいな体裁。このひとは、ノッてホイホイ
読んでいかないと愉しさ百分の一な文章家ですから、これは本当に痛いです。