老人は完全にうちのべされたことを覚った。もうとりかえしはつかない。
いま、かれは軽々と海の上をすべっていく。なんの想いもなければ、いかなる種類の
感情もわかない。いま、かれのうちにはなにもなかった。ただ小舟をうまく操って港に
変えるだけだ。
大自然のなかを戦い進む老人。尊敬の眼差しの少年。老人は夢をみる。