「ドグラ・マグラ」は35年ほど前に読んだけど、現在は殆ど内容を覚えてい
ない。小説のストーリーと学術論文が入り混じったような作品だったことは
覚えている。

この作品は1935年に発表。
当時、精神病患者が殺人狂集団みたいに考えられていた時代に、作品中の
「キ○ガイ地獄外道祭文」にて精神医療のあり方を問い質し患者たちに人権
擁護を訴える。

1950年代にJ.WatsonとF.CrickがDNAの構造を解析して、一つの細胞の中にその
生物個体の全ての遺伝子情報が収納されている仕組みを解明した。
作品中の学術論文「脳髄は物を考える処に非ず」では、その前の時代に空想
とは言え一つ一つの細胞がその生物に関する記憶と感覚を持つ、つまり現在
の遺伝学につながる発想を提唱した。

その意味において、非常に先進性がある。