この作品は、正木、若林、呉千代子の三角関係に端を発する呉一郎事件に
呉家に伝わる因縁話を絡めた、怪奇仕立ての探偵小説です。
さらに、「脳髄論」だの「胎児の夢」だの「チャカポコ」だの読者の目を眩ます装置が
これでもかというくらいてんこ盛りにしてあります。個人的意見としては本筋だけでも
十分面白いんですからこれは必要なかったと思います、余計です。

「ドクラ・マグラ」理解したいのなら、まず呉一郎事件を解明することが何より重要
です、それが一番の近道でもあります。

皆さんは「私」が誰であるか興味があると思いますが、「私」は呉一郎でしょうか、
それとも「夢見る胎児」でしょうか、どちらも間違いではありません、しかし夢野久作
のいう「私」にはもっと別の意味がこめられております、事件を解明された方には
きっとそれが分かるはずです。御健闘をお祈りします