2010年11月1日〜11年10月31日までに刊行された単行本で、新鋭・気鋭の小説に贈呈する「第28回織田作之助賞」
の選考が12日、大阪市内で行われ、津村記久子さん(33)の「ワーカーズ・ダイジェスト」(集英社)が選ばれた。贈呈式は3月9日、同市中央区の綿業会館で行われる。

「ワーカーズ・ダイジェスト」で第28回織田作之助賞を受賞した津村記久子さん

 津村さんは大阪出身、在住。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞を受賞している。

 「ワーカーズ・ダイジェスト」は、大阪を舞台に同姓で同年月日生まれの男女の日常を交互につづり、現代日本で働く30代の現実を描いた物語。

 推薦人28人から寄せられた61点から最終候補5作品に絞られ、
作家の稲葉真弓さんや玄月さん、辻原登さん、文芸評論家の田中和生さん、河田悌一前関西大学長が選考した。

 「湿っぽさのない文章に2人の生き方が表現されている」(稲葉さん)、「日常の小さな喜びが丁寧に描かれている」(田中さん)といった点が評価された。