アントン・チェーホフ
>>111
それ十代の前半くらいの捉え方だろ
22、3っていったら世の中と折り合いつけつつ前進の希望に満ちているか、
はっきり負けてしまった奴とに別れるぐらいの年代だろ >>112
ちがうでしょ
たとえ負け組でもゴーリキみたいに希望というか変化への望みみたいなものをもってる
でもこの人には最初っから何にもない
チェーホフの作品には何も起きない、何かが起きても何も起きないって言われるが
プラスの方向で、ツルゲーネフやプーシキンらの萌えキャラめいた女キャラも
マイナスで、ドストのよう壮大な事件も何も起きないで、ただ淡々とあたりまえに苦しんで終わる
もっといい歳になって色々諦めれば、そういうの書いても理解できるが
22歳で奥さま、生きた商品、咲きおくれた花とかは普通書けん
良い方にも悪い方向にも、物語をもっと波立たせてしまうのが普通だと思う 広津和郎が103と同じようなことをいってたらしい。
あれだけ人生が分かってしまうと、生きていくのがさぞつらかったろう、云々・・・
開高健のエッセイにそんなことが書いてあった記憶がある。 広津和郎って読んだことがないけど
井伏鱒二が「チエホフの悲哀のような」と書いていたので興味が出た
読んでみたい 広津和郎の『私のチェーホフ』よかったよ
で、「あの年でなんであそこまで人間の感情が分かる」のかっていう
具体的な箇所をあげてくれませんか? 人間の感情とは違うが
『不必要な勝利』(22歳作)で貴族くずれの男が
女貴族にゴミ扱いされて泣いている田舎娘をさとす場面が印象に残ってる
「君はいくつだ? 美少女さん、人生というものはうとましく、汚らわしく、やりきれない代物なんだよ!
君は人生に何を望んでいるんだい? 人生が君にほほえみかけてくれるとでも思っているのかい?
君はないものねだりをしているよ、この地上には、やりきれない生活しかないんだ……」
といって、子供の時に乳母がしてくれた全く救いのない童話を聞かせて
「それで終わりですか……」と彼女に聞かれると
「これ以上何が必要なんだい? 悪人を牢屋に入れてもらいたいのか? そんなことをあてにしちゃいけないよ
僕の乳母は優れた教育者だった、童話の中でさえ嘘をつかなかったんだから
彼女の話では善が勝ったりしないんだ」って言う
この最期の言葉はこの人の創作態度そのもので
あの年でそれを宣言して実際にそうしたってのは凄い早熟だなと思いました でもチェーホフって、そういう絶望的なとこから、
それでも生きていきましょうよ!
人のために頑張って働きましょうよ!
みたいな展開に自然になってくとが凄いと思うんだ
態度としては嘘はつかないのかもしれないが
意識としては決してあきらめていなかったと思う
でも現実的に生活が劇的によくなることなんかなく、
人がゴミ扱いされるようなこともなくならないことは、
よくわかっていて常に絶望もしていたんだろうなと >>116
人間の「感情」っていうなら、日本の作家が他国のを圧倒していると思う。
チェーホフは「人生」ってのを怖いくらいに見抜いてるってことなんだ。
(「宿命」と云いかえたほうが、もう少し正確になるだろうけど。) 見抜くというよりも、人生に対して必要十分な期待しか
抱いていないっていう方が近い気がするな。
筋金入りのリアリストというか。
だから大げさに悲嘆したりしないし、夢物語をぶちあげることもない。
むしろチェーホフ自身は恋をすることができたのかどうかが気になるわ。
手紙とか伝記を見る限りやさしい愛情深い人だったのは間違いなさそうだけど、
その割に恋愛に対する情熱をまるで感じないんだよね。 対訳チェーホフを買うぞ
第二弾、第三弾と出してほしいぞ >>124
ほんとだ。俳優座って観たことないけど
小田島雄志訳か… 中公の全集をを文庫で出してほしいが
いまどきのデカい活字にしたら
ローマ人の物語どころじゃない巻数に
なってしまいそうだな 今デカイよねー。この間、久しぶりに新潮文庫を見たら気持ち悪くなった。 この人の全集は悲しいな
読めば読むほど死に近付いていく
「自分は老人よりもヒドイ、こんなところで死んでたまるか…」とか
死ぬ一年前に「自分はますます健康になってきた」とか書いてるのみると 初めて読んだ『かもめ』のインパクトが大きくて、とりあえずなるべく多くの作品に触れたいのですが、中公の全集が手っ取り早いですか? 中央公論版が一番安く手に入るんでいいんじゃないでしょうか
作品も多分一番多いと思います >>131 ありがとう。探してみます。ちなみに中央公論でも全16冊と全18冊となっているのがありますが、やはり全18冊のほうがベターでしょうか? >>133
たぶん両方同じものですね
16巻までは作品集で後の2冊はチェーホフに関する論文と回想録です
そういうのに興味なかったら16冊だけでもいいじゃなでしょうか 水を差すようだけど
戯曲と小説は違うので、自分のように妙な失望をしないように ありがとう。せっかくなので18冊揃いを注文したよ。楽しみだ。 チェーホフユモレスカ買ってきた!
小説のなかで一番たくさん出くわすものはで笑った。 全集、注文してからアレだけど戯曲って数少ないんだね。劇作家のイメージが強かったんだけど。 チェーホフは9割が短編小説でしょう
でも短編小説でも映画を観たあとのような味わいのある話が多いよ
全集を読むなら、1巻からではなく、4〜5巻ぐらいから最後まで読んで、
それから1巻にかかるといいかも。
最初の方はチェーホフが学生時代に書き飛ばしていたころの話だから。
その中でもいい作品はたくさんあるんだけど。 あ、それは大丈夫。短篇もいくつか読んでるのでまったく好みにあわないことはないはず。ちなみに600以上の短篇を書いたとかなってるけど、まだ日本語未訳のものも多いのかな? 三谷版は笑かそうといろいろ修正していた
あざといところもあったけど、斬新な解釈もあって面白かったよ 割と忠実だったと聞いたが
やはりそういうのもあったのね 最後にヤーシャに捨てられたドゥニャーシャが今後の人生を
エピホードフと歩むことをはっきりと見せたり、
ラネフスカヤが見る母の幻が白い服を着たシャルロッタだったり
道案内を願いながら金をせびる浮浪者がピーシチクだったりとか
ちょっとあざといなと思ったのは、
ワーリャが養女であることをかなり強調していた
使用人たちが「あんたは奥様の血をひいてないでしょ」などと
言いながら仕事をボイコットしたりする
あとトロフィーモフの禿ネタかなりしつこく使ってた
もちろんカツラだけど髪の毛をむしったりするシーンもあった
最後も原作ではフロックを着ているはずのフィールスがまるで
家の妖精のごとく白い寝間着姿で登場し、ガーエフが家を去る前に
積み木で作った家を杖で破壊したりしていた
全幕が第一幕の舞台である子ども部屋で進行するので
二幕、三幕はちょっと展開が苦しいかな、というところがあった チェーホフについての過去トピってどこかで読めませんか? 中公の全集が届いたけど、初期の短篇が読みにくい(・ω・) 上でも言われてるけど、初期は駄作が多いから無理して読むことないと思うよ
それでも読みたいなら1日1作みたいに、時間をかけて読んだ方が楽しめる
初期は目の付け所やセンスはチェーホフそのものだけど
「それオチてんの?」みたいな娯楽にしても文学にしても中途半端なのが多い
特に一巻前半は「目覚まし時計」誌に投稿して三本に1本くらいしか採用してくれなかったあげく
打ち切りくらって最初の挫折した時期のものだけど、それもしょうがないかなって思うな
1巻で重要なのは『不必要な勝利』『奥さま』『生きた商品』『咲きおくれた花』
この四つは今のラノベ作家みたいな地位にいながら、それでも芸術を目指してやるんだという
若いチェーホフの野心や気概が伝わってくる、あと『緑の岬』『通信員』あたりも面白い
2巻に入ってから覚醒したのか『催眠術の会』や『法廷の一事件』などオチのある完成した作品が出てくる
『ねこやなぎ』『ぬすびと』『でぶとやせた男』あたりは芸術の方でいい
2巻で一番好きなのは『仮装した人びと』で、これはチェーホフ作品の本質そのものだと思う >>152
身内褒めみたいだけど読んでるねえ
俺も「緑の岬」なんか驚くほど後期のエッセンスがつまってると個人的に思う
まあむりして全部をおもしろがろうとする必要はないわな チェーホフは一度に大量の情報が出てくるから、読むのが疲れる。 『緑の岬』めちゃくちゃよかった。152さんありがとう。 時々、キラリと光る一編があるから全集初期も読み飛ばせない。 オチも起承転結もないのが斬新
オチも起承転結もないのに面白い
変な作家 岩波文庫の可愛い女読み始めましたが、訳が読みづらい。 神西清で読みにくいって…時代なのかな
名作は古びなくとも名訳は古びるとは誰の言葉だったか。 沼野といえばハーヴァード大学出た秀才か
あのひとのナボコフの翻訳とか評判はどう? オレも鼻眼鏡かけたいな
チェーホフみたいな紳士になりたい非正規30代だけど フィンチは流石に売ってないだろう。
丸めがねなら西荻窪の眼鏡屋に色々あるぞ チェーホフってこれが代表作だ!って小説が他の作家と違って決まってないよね
俺は『決闘』が今まで読んだ中では一番傑作だと思ったね もっと生きていたらと思うと惜しいよね
オレは4大戯曲がセットで代表作って感じだな チェーホフはひたすら、全集で短編を読み、戯曲を読み、
手帳を読み、手紙を読み、…
また、全集で短編を読み、戯曲を読み…
エンドレスですな 9/8から俳優座で小田島訳のかもめが上演されますね。
観に行く方いますか? 短編小説から読みたいんだけど、なにがオススメ?
訳が難しくなく、平易なことばで書かれたものがいいんだけど・・・ 近くに古本屋があるならちくま文庫の3巻、4巻あたりからおすすめ
あとは小田島さん訳の新潮文庫かなあ
自分がその辺から入ったもんで…
最近でもいろいろ新訳は出ているので試してみては
http://amz.harumeki.com/jp.php?qz=%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%95 カメレオンっていう題の本があったけど訳者が微妙だな
チェーホフって誰の訳で読めばいいの?いい本あったら教えて チェーホフ全集〈1〉にカメレオン収録されてるよ
今の子供たちは国語でカメレオンって作品読んでるみたいだね
http://homepage1.nifty.com/ta/sfc/chekcov.htm カメレオンって犬が上司の飼い犬かどうかで、態度コロコロ変える話だっけ
あれは珍しく笑えた
初期はマジで笑いどころが分からんのが多いからな
マヨネーズとか「???」だった 平均的な人間の社会適応(発達)段階でいうなら>>112が正しい
ただし当然、その国の文化や社会的環境に依るところが大きい
そして、貧しい人ほどその国の文化・社会水準を反映する
チエホフは面白そうだ
文庫が希望だけど、この場合新潮の背表紙はあり得ない色なので、
全集を捜してみようかな 「退屈な話・六号病室」が気に入ったので、
岩波の短編をいくつか購入することにした
「可愛い女・犬を連れた奥さん」が全く好みでは無かったから敬遠してたけど どうもチエホフは恋愛や不倫ネタを全面に出しすぎる傾向がある
着想はかなり深淵で悲痛なものなのに、甘ったるい作風になる 『箱に入った男』『すぐり』みたいな見聞形式で一冊分書けば良かったのに 「谷間」とか「ねむい」とか・・・この辺りは凄いんだよね 恋愛ものでも中二階のある家は好きだな。
画家と女の子の思いが全く噛み合ってないのが、なんとも哀しい。 桜の園とかわいい女読んだらチェーホフにハマりそうになっている
もう少し読んでみよう この人あれだけ辛い幼少期を送ったのによく心がねじ曲がらなかったな
作中じゃ批判はするが、内輪の会話で誰かの悪口がでると彼だけは庇ったらしいな 「さくらんぼ畑」が今頃朝日の記事になったのはなんで? >>194
結構ねじ曲がってないかな?
この人の小説ほどものの見方に偏りのない作品はあまりない気がする。
悪意もないけど、代わりに善意もない。
ここまで人間離れしてると少し不気味だわ。
宇宙人に観察されているような気分になるときがある。 でも、どこか人間をまだ信じているようなところもあるように思うんだよね
さくらんぼ畑は急に出てきたね
何で今?とは確かに思った >>197
人間を信じているし、優しい人なのは確かだとは思う。
ただ現実的すぎる上に頭もよかったせいで、孤独だったんじゃないかなとも思うんだよね。
神西清のチェーホフ序説を見る限り恋愛含め人間の活動全般で随分冷めた人だったっぽいし。
さくらんぼ畑の方がまあ確かに今の日本語には合っているのかね。
ただ、浮世離れした没落しかけの貴族が「桜の園」とか呼んでいる方が、
借金まみれの現実が見えていない感じがして、滑稽さも増す気がするけど。 どんな疑問だろうと快刀乱麻だ…
教科書読んだことのない人間はこんな言い回しせん気がする(笑 つまるところ好事家。深く突っ込んでえぐり出す、が無い。
革命前ロシアの体制内ヒューマニズムなんてこんなセンチな少女趣味だけなんだろうが。
こんなのが日本で流行ったってのがアホらしいってだけ。 チエホフとしては、本業はあくまで医者であり、書く方は資金稼ぎというスタンスを崩していない
人あしらいは巧く好かれたようだが性格はかなり捻れている チェーホフ いいよね
明日から新年度、また全集を読み返そう
そんでもって頑張って働くぞー チェーホフの短編をいくつか読んだんです。
この人の作品、凝っていて、かなり面白いですね。
特に『牡蠣』が面白かったです。
話の筋は、志賀直哉の『小僧の神様』に似た重い内容なのですが、飢えた子供
が、『牡蠣』という文字に妄想を膨らませて、「牡蠣をください!」と通行人
にうったえます。すると通行人が「ほう、ぼうずは小さいのに牡蠣が好きなの
か?」と、子供にとってはおいしくない高価な牡蠣をたらふく食べさせられるという話です。
それが、子供の妄想の視点から描かれているのて、より滑稽で、ユーモアあふ
れる、ふくよかな作品に仕上がっています。
漫画家の花輪和一や鈴木翁二が、子供の妄想世界を描くのがうまいので、チェ
ーホフの作品を、彼らが劇画化して描いてくれたらうれしいですね。 俺は新潮世界文学の23巻「チェーホフ」で大概の作品を済ませている。
翻訳も池田健太郎、神西清、原卓也で問題ない。
21の短編と4大戯曲に2つの一幕戯曲が収録されている。
重い本なので、持ち運びにはふさわしくないが、
チェーホフこそ書斎で読むのが似つかわしい作家だと思う。