チェーホフの短編をいくつか読んだんです。
この人の作品、凝っていて、かなり面白いですね。
特に『牡蠣』が面白かったです。
話の筋は、志賀直哉の『小僧の神様』に似た重い内容なのですが、飢えた子供
が、『牡蠣』という文字に妄想を膨らませて、「牡蠣をください!」と通行人
にうったえます。すると通行人が「ほう、ぼうずは小さいのに牡蠣が好きなの
か?」と、子供にとってはおいしくない高価な牡蠣をたらふく食べさせられるという話です。
それが、子供の妄想の視点から描かれているのて、より滑稽で、ユーモアあふ
れる、ふくよかな作品に仕上がっています。
漫画家の花輪和一や鈴木翁二が、子供の妄想世界を描くのがうまいので、チェ
ーホフの作品を、彼らが劇画化して描いてくれたらうれしいですね。