>>126
「若紫」の巻は、全巻の中で一番最初に書かれた可能性が高い。
自分も読んでいて、文体がまだぎこちなく時として生硬だけど、
もの凄く才能のある作家により書かれた文章という気がした。
(好中編としても読める「夕顔」などは熟練し安定した文章になっている)

橋本治も「源氏供養」で源氏の3つのはじまり(「桐壺」「箒木」「若紫」)
のうち、本当に最初に書かれたのは「若紫」ととりあえず断定すること
にすると言っている。
橋本は、当時の文学少女(物語を読む少女)や元文学少女のために
紫式部は彼女らの夢を満たすような物語(式部自身の夢でもある)をまず
綴ったのだという。
理想の父がそのまま理想の夫となる話。

>少女は、素晴らしく、そして、若くて美しい、「父のような王子様」に育てられて、
そしてやがてその王子様と結ばれる
(「源氏供養」下393頁。自分が持っているのは単行本で、現在は中公文庫にも
はいってます)

「足長おじさん」にも相通じますね。
源氏がはじめて紫の上と契るのは、源氏22歳のとき、紫の上は何歳年下か原文
自体が混乱していて、14歳か12歳かはっきりしない。
12歳だとしても、ちい姫より1年遅い処女喪失になる。
(実は>>125も「源氏供養」を参照してます)
これらの年齢は数えなので、満年齢だとさらに1、2歳を引かなければならないとも
橋本は断っています。現代の目からはさらにえーっですね。