ウィリアム・フォークナー 4
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おい、G はやく藤平育子訳のアブサロム×2!のレビューを書け。 お前の内容次第で俺も買うか買わないか決める 藤平育子先生は、ttp://wwwsoc.nii.ac.jp/wfsj/pages/gaiyou.html の会長。Gは、しっかり精読してるのだろうよ >>125 すまん。地元の小さな本屋には置いてなかった。 リョサの新刊の方はあったのに >>126 知らなかった >>128 昨晩、アマゾンで注文したが、上下揃ってからでもよかったかもw カバーがヨクナパトーファの地図じゃないか。 岩波、いつからこんなカバーに変わったんだ。 気がつくと、最近のリョサ「緑の家」「密林の語り部」も と思ったら、ボルヘス「創造者」(2009・6)の時点ですでに 昨晩まで地方出張だったので書きこまなかったけど 読書会、「ワッシ(孫むすめ」か「乾燥の九月」のどちらか、誰か 選んで。どっちが先かという程度の話だなあ。 前者はサトペンの最期が描かれる。 ド・スペイン少佐がシェリフとして最後に登場する。 みなさん、こんばんは。 暫く留守にしているあいだに日本はすっかり秋に。 フォークナーのスレも3から4になっていて、ちょっと浦島気分です。 時は待ってくれませんね。 さて、新しいスレで気になったことがありましたので書きます。 わたしキャディがGさんの自演キャラだ、という書き込みです。>>104 Gさんの(そして私自身の)名誉のために申し上げますが、それは違います。 前のスレが読めないので、あるいはわたしが旅に出てからいろいろ紛糾した事態があったのかもしれませんが、 少なくともAn Odor of Verbenaまでのキャディ名の書き込みは、Gさんのものではありません。 まあ、ないとは思いますが、誰かがキャディに成り済ましたら、見破る質問をしますね。 わたしはお蔭様で出張中もフォークナーを楽しく読んでおりました。 今後しばらくは、フォークナーにinspireされた/した英語作品を素人なりにポツポツ読んでいこうと思っております。 ですので、読書会は引き続き休場。 みなさんのご健読をお祈りいたします。 長々と失礼いたしました。 Candace >>133 キャディさん、お久しぶりです。 前スレはここで読むことができます。 ウィリアム・フォークナー 3 http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/book/1284105733/ >読書会は引き続き休場 残念ですが。 みんな働きながらフォークナーを読むなんて凄い体力だなあ 毎日2回も3回もオナニーしてるやつのほうがすげえよ・・・ 槙原敬之が浪人時代に1日に3回オナニーしてるって話してた時 石野卓球がたったそれだけぇ!?ってビックリしてた 卓球はTGを聴きながらオナニーしてたらしいからなあ… これだけフォークナーに関係ない、糞ばかり集まっては Gも年貢の納め時かwwww >>133 結局、アンタはGの自演キャラだったということなんだよね? >>133 わたしキャディがGさんの自演キャラだ、という書き込みです。>>104 Gさんの(そして私自身の)名誉のために申し上げますが、それは違います。 うううううう 福武文庫「エミリーに薔薇を」古本屋で入手。 文字組は新潮文庫よりはるかに読みやすくていい感じ。 どうも新潮文庫は読みにくいレイアウトが多いんだよなあ。 高橋正雄訳。講談社の「アブサロム」を訳した人か。 少し前に訳の比較についての書き込みがあったのを拾ってみようかな。 >>145 新潮文庫とは、「エミリーに薔薇を」、「赤い葉」、「あの夕陽」、「ウォッシュ」が重なりますね。 訳は一長一短かなあ。 読書会、今週は中断した形になりましたが、「ウォッシュ」からぼちぼち再開しましょうか。 (最後に「乾燥の九月」) インディアンものの「正義」が「赤い葉」との関係で興味深かったです。 「エミリーに薔薇を」。 教えて!gooのghostbusterという人の回答がよく出来ていて、参考になる ので紹介しておきます。 http://oshiete.goo.ne.jp/qa/729984.html >>149 当たり前だろ。岩波らしく馬鹿丁寧な解説つき まずアブロサムはどういう話なのかGさんに解説してもらってからだな。 >>151 まずタイトルを確認しろw天然? ダビデの息子の名だろが >>150 馬鹿丁寧な解説がなきゃ、お前にはわからんだろ >>153 最初のあらすじは必要ないよな。講談社の方何回も読んでるし >>152 ごめん全然わかんないや… >>154 あらすじまで付いてるのか!こりゃ買いかなあ。 >>154 ほうほう、何回も読んどるんか そりゃ偉いな フォークナ好きなん? >>155 サムエル記にアブサロムの話がある。親父のダビデに背いて殺される話。 それをアメリカ南部に落とし込んで、しかも南部の歴史とも絡めた小説。 フォークナー天才過ぎて引く >>156 神保町で全集の『村』以外は主要作品殆ど集めたほど >>158 ふむふむ アブサロムについては何故に繰り返し読むのかいな クエンティンとサトペンっていう登場人物が好きだから サトペンは最初は悪魔とかいわれてるけど、俺はかっこいいと思う フォークナーは人気無くて本が手に入りづらいから、みんな買ってほしい そしたらまた新刊出るかもしれんだろ? >>157 ご親切にありがとうございます。そういう常識がないので苦労しています。 アブサロムの新刊の翻訳ってどうなの? 上でも書いてあるけど 男性の作品を女性が翻訳してあるというのがどうも・・・ どーせお前らがフォークナー読むのも柄谷や渡部が誉めてるからだろw アセは人のいったこと聞きかじっていつもの知ったかぶりか やれやれ >>166 その人たちは知らんけど色々辿っていくモンだろ 俺はカフカから出発したから 俺は中原昌也がフォーク対談で「フォークには影響受けてませんよ。フォークナーには影響受けてますけど」って言ったからだなあ。 なんで鈴木がここにいるの? はやくちゃんとした生活習慣身につけろよ >>166 実は、篠田一士の「20世紀の十大小説」にプルーストの「失われた時を求めて」、 ボルヘス「伝奇集」、ガルシア=マルケス「百年の孤独」とならんで「「アブサロム、 アブサロム!」がはいっていたというのは大きいw 今、その篠田が訳したアブサロムを読みかけているのだけど、これは読みやすいように思う (最近、濫読期にはいり、読みかけの本がたまって収拾がつかなくなりつつあるけど) ただ、このスレの読書会に参加して、ヨクナパトーファの地に親しんだためかもしれないというのは すでに書いたとおり。>>18 例えば、ホルストン・ハウスが出てくると、ああ、あのお馴染みの酒場つきの宿屋ね、という感覚に もはやなっている。 >>151 とりあえず、新潮文庫の短編集の「孫むすめ(ワッシ)」を読んでくれると うれしい アブサロム、講談社の文庫で目は通したことあるけど、ここでの読書会前の ことなので、ほとんど消化できていない >>167 中上にフォークナーを紹介した、ソンダクにも評価されてる哲学者だよ 哲学者って自称じゃなかったか、あいつは 同郷としては哲学者だと嬉しいけれども 山崎行太郎も自称哲学者だけど、柄谷行人は哲学者でもいいんじゃないですかね。文芸批評家のほうがいいと思うけど。 >>175 ソンダクに評価されてるのは知らなかったなあ ソンタグは批評空間に招かれたりしてたね。漱石の大ファンだって語ってた。 ソンタグは批評家としても小説家としても魅力があるなあ。 「死の装具」という初期の小説もなかなか力があって良かったし、 何よりも「反解釈」の才気ばしった鋭さが心地良かった。 「ウォッシュ(孫むすめ)」を冒頭の部分で新潮、講談で読み比べた。 やはり新潮文庫はどうも読みにくいね。 「アブサロム」は講談社の高橋訳でちょっと前に読んだばかりなので 岩波文庫にはどうもまだ手がのびないな。 内的独白の斜体の丸みのあるフォントは嫌いだ〜 480 : アセンション ◆DHEKuXMiDGdO : 2011/06/10(金) 20:59:05.71 >>436 18になってたかな。無免許だけなら大したことなかったんだけど 空地に転がってたバイクからナンバープレート盗んじゃってさ。 無免許運転、不整備車両運転(車検なしバイク)、ナンバープレート窃盗、 この3点で簡易裁判になったよ。 >>181 アブサロムの岩波の文庫。224頁に出てくるピッツバーグ・ランディング (別名シャイローの戦い)の注39で下巻の頁数が引用されている。 下巻はすでに出来上がっている? それにしては来年1月刊行予定って、随分、先だなあ。 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/bun/ >>183 で引いた岩波のHPに題名の由来等も詳しく出てるな 「アブサロム」というタイトルですが、これは旧約聖書「サムエル後書」の以下のエピソードに由来します。 ダビデの息子アムノンは、異母妹タマルを陵辱し、これを知ったタマルの同母兄アブサロムは、二年間好機 を狙って、アムノンを家臣に殺させる。しかしアブサロムもやがてダビデ王に対する叛乱の首謀者となり、父 の麾下の将軍に殺される・・・。 読書会再開 「孫むすめ(原題 ワッシ」 Washをどう発音するか。 ワッシ(新潮文庫)、ワッシュ、ウォッシュ(福武文庫)。 初代大統領Washingtonと同じ名であることを押さえておく。 立派な名前だけど、黒人奴隷からも蔑まれるプアホワイト。 成りあがったサトペンと違い、サトペンに寄生するような形で すでに還暦を過ぎ、老境を迎えている(外見は年齢不詳)。 南北戦争にも従軍しない腰ぬけで完全に名前負けしている。 でも自分が白人であるという空疎なプライドに囚われている。 広大な荘園の主に成りあがり、南北戦争でも勇敢に戦ったサトペン との自己同一視の傾向もみられる。 以下、自分は基本的に「ワッシ」の題名で通すことにする。 ワッシは、15歳(死亡時16歳)の孫娘ミリーと一緒に暮らしているが、 母親、すなわちワッシの娘はどうしたのか?父親は? アブサロムでローザ・コールドフィールドがクエンティン・コンプソンに語ったところによると >メンフィスの淫売宿で死んだというウォッシュ・ジョーンズの一人娘の、そのまた父親不明の娘 (岩波上235頁) ミリーの産んだ子が男の子だったら、どうだったのか? 松柏社事典のトマス・サトペンの項 >(一攫千金を狙い渡った西インド諸島ハイチの)砂糖栽培業者の娘 ユーレリア・ボンと結ばれるが、妻の混血を疑い妻と息子チャールズ・ ボンを捨てる。 >1866年(南北)戦争から帰還すると……(エレンとの子)ヘンリーが 混血かもしれない異母兄弟のチャールズ・ボンと(やはりエレンの子である 妹)ジュディスの人種間結婚(miscegenation)を食い止めるためボンを射殺し、 家督相続権を放棄したことを知る。 >男児出産を条件に義妹ローザ・コールドフィールドに求婚するが拒否される。 使用人のウォッシュ・ジョーンズの孫娘ミリーに彼の子を孕ませるが、生まれた 嬰児が女児だったため家畜同前に扱い、激昂したウォッシュに大鎌で殺される。 黒人奴隷からも屑と蔑まれるプアホワイト(サトペンも元はプアホワイトなんだけど) のウォッシュの孫、しかも父(てて)なし子で淫売の娘であっても、白人純血種の お世継ぎを期待して孫ほどの年齢の娘に手を出したということ 「ワッシ」ではサトペンの帰還は1865年になってますね。 孫くらいの年齢の娘に手を出したっていえば、サトペンって響き、 ドリフの加藤茶の「加トちゃんペッ!」をどうも連想してしまう んだよね。 同じ、悪のヒーローでも、「嵐が丘」のヒースクリフに比べて、 間抜けな響きだなあと当初は思った。 だんだん、慣れてきたけど。 ヒースクリフの方は(アイルランド、イギリス北部の)荒地 (その荒地に群生する植物名も指す)、それに崖を掛け合わせ ており、はじめから格好よく感じた。 クライテムネストラ(クライティ)Clytemnestra(Clytie) 南北戦争中、北部連合軍にサトペン荘園(インディアンから買収した 100平方マイルの広大な土地に因み、Sutpen's Hundredと呼ばれて いる)も荒らされ、食糧も不足した際、サトペン夫人(アブサロムに よるとエレン)はワッシのもとに、裏庭のブドウ棚に熟している山ブ ドウを取って食べてもいいとの使いを寄こす。 (といってもサトペンの屋敷の勝手口で使いはワッシに伝言したようだ) 使いである屋敷のメイドの黒人女は、ワッシに、屋敷の敷居を跨がせない。 サトペンは白人の屑であるワッシを屋敷にいれたことなどなかった。 サトペンが従軍で留守の今は、自分がサトペンに代わり屋敷を守る 立場にある、だからお前が敷居を跨ぐことなど私が許さないぞといった調子。 アブサロムをみると、この黒人女は、サトペンが黒人奴隷に産ませた子 クライテムネストラであることが明示されている。 屋敷の守り手の意識を持ち、最後は自ら屋敷に火をつけ、炎に包まれる屋敷に 殉じていく。 その最期はレベッカのダンヴァース夫人を思わせる。前スレ825 フォークナーって放火魔大好きだなw クライティ、アブナー・スノープス、ダール・バンドレン、ルーカス・バーチ ベンジー・コンプソンも自宅燃やして精神病院行かされるし ワッシも最後に小屋に灯油を撒いて、炎上させてるな。 >>195 あほだな >>190 が知ったかぶりのバカっぽいものだったので >>192 のような感想を書いた >>193 と尋ねられたので >>194 に不正確だからだよと親切に指摘してやった あとは自分でどの部分のどこが不正確だったか確認しろ 気に入らないことがあると直ぐにコミュ障とかいうのは あほだろ >>196 お前こそ確認しろ。どうせベンジーのとこだろ? >>197 普通の人間だったら不正確との指摘を受けて 自分が書いた内容を見直し、確認するが >>197 はお前こそ確認しろと不可解な反応をする つまりは読んでないから見直し、確認ができないわけだ Wash本日中に読み直し予定。 >>190 >>191 「ウォッシュ」のラストのジョーンズだね。 鈴木の名前をシェイクスピアスレで見たときは、吹いたな フォークナー大好きな作家ではあるけど、アメリカの作家は歴史感覚にとぼしいという福田恒存の指摘はその通りだとおもうな >>201 感想がそれかよw でも俺も似たようなものだなあorz >>203 アメリカという国そのものの歴史の欠如? 「ウォッシュ」を読んだけど、俺にはどうも読む力がないらしい。 フォークナーの魅力を汲み取れなかった。 カフカ、プルースト、ムージルには感じなかった挫折感…。 最後の放火シーンは映画的で鮮烈なイメージは残してたけど。 ウォッシュをワッシと呼ぶ件について、 高橋訳では邦訳で「わっし」という一人称が使われてたw >>204 わしも正直よくわからんかった フォークナーは理解を拒む変な力あるね フォークナー好きな人ってこの押し返され方が癖になってんじゃなかろうか >>204 >>205 俺は逆にムージルがどうも魅力を汲みとれないんだよなあ。 「特性のない男」は松籟社版で一応6巻とも目を通した。 岩波文庫の短編集2冊、読本もかなり丁寧に読んでみたけど、どうもぴんと来ない。 (おそらくヘルマン・ブロッホも。「夢遊の人々」を飛ばし読みしただけだけど。 この2人を好きな古井由吉についても同じような隔靴掻痒感がある) アメリカの作家ではフィリップ・K・ディックの魅力がいまいちわからない。 ヴァリス等の世界に、フォークナーに対するようにとことんつきあってみようという気持ち はどうにも湧いてこない。 カフカは、10代の頃、「変身」「断食芸人」の2編を読んで、もういいと思った。 凄い衝撃を受けたのだけど、似通ったラストシーン(家族のピクニック、生気溢れる豹) に、これじゃ主人公がむごすぎる、もう沢山と思った。 その後、読んだのは大学のドイツ語の授業で読まされた「掟の門」だけw フォークナーも読書会はじまってからのにわかなので、カフカ、ムージルも読書会を やれば魅力に目覚めるかもしれないw (「特性のない男」の新潮社の高橋義孝他訳版、思わず注文してしまった) >>204 Washの一人称、新潮・瀧口訳では「おら」 福武・高橋訳は、「おれ」「わし」「わっし」と不安定。 ワッシがサトペンが「俺に触るな」と言われるが、反抗し 近づいていくシーン。 "Don't you touch me." "I'm going to tech you, Kernel," Wash said in that flat, quiet, almost soft voice, advancing. 高橋訳 「わっしはあんたに思い知らせてやるだよ、大佐」 瀧口訳 「おら、さわるだよ、大佐」 techを、teach、touchいずれの視覚方言(eye dialect 作品の中の人物が 方言や俗語を使っていることを示すために用いられるつづり字)とみるか の違い >>204 なんかポオからメルヴィル、フォークナー、ヘミングウェイって 映画的な感じがするのはアメリカ小説の一大特徴のような気がする。 なんか即物的、冒険的というかね。ラヴクラフトやハメットのような エンタメ系ホラー作家やハードボイルド作家にもそれ感じる。 >>205 そうだね。だからフォークナー好きな人が羨ましいな。 >>206 やはりその作家が合う合わないというのは各人であるんだね。 カフカは10代の頃にそれこそむさぼるように無我夢中で読んで なけなしの金で最初の新潮社版全集をすぐさま買ったなあ。 ムージル「特性のない男」も最初はたいしたことないなと思いながら、 読み進むうちにじわじわと入り込んでいけた。 特にウルリヒとアガーテの対話のあたりから。 「失われた時を求めて」のような一応の完成草稿がない未完作だから、 カタルシスのある読後感はなかったけれど。 >>208 短篇作家という点ではヘミングウェイの乾いた文体が好きだなあ。 ある意味ヘミングウェイにも「ハードボイルド性」はあると思うけど、 その言葉とは裏腹に「クールさ」が必要なんじゃないかと思った。 >>209 >特にウルリヒとアガーテの対話のあたりから 昨年読んだとき、2人のお父さんが亡くなり、兄妹で対話をはじめる巻が ちょうど行方不明になってたのでやむなく、いったん飛ばしたんですよね もしかしたら、そこがとっかかりになって、入り込んでいけるかもしれないw >>213 どこがw 俺は人にスレチを指摘するあんたみたいな狭量なこと したことないよ(プルーストスレみてみい) 多分、話しても無駄なケチつけが趣味のお方とみた 高橋正雄の解説を読むと「ウォッシュ」の発表は1934年で サトペン物語のカタストロフにあたり、この短篇の後で「アブサロム×2」に着手したと書いてあった。 結末が最初にできて、その結末から前史としての物語が構想された形になるのかな。 複数の語り手によって物語が多重に語られる「アブサロム×2」に比べると 非常にシンプルな構成の「ウォッシュ」だけど、これが種子となったわけなんだね。 「ウォッシュ」と関係の深い「アブサロム×2」を読んだ理由を考えてみると、 >>172 に書いてあった 篠田一士「20世紀の十大小説」の影響はあるかもしれないなあ。 >>215 ワッシでは、保安官としてワッシ追跡隊を指揮する少佐はまだド・スペイン と名づけられていなかった。 ワッシをその場で射殺するだけでなく、その後、「納屋は燃える」ではアブ・スノープス。 少なくとも2人のプアホワイトを射ち殺していることになる。 また、ワッシに、サトペンの母屋の敷居を跨がせなかった黒人女は、まだクライティ と名づけられていなかったし、サトペンの血を受け継いでいるという属性も与えられて いなかった。 そのクライティがアブサロムでは、もう一つのカタストロフの中心人物になるわけで すが。 >>216 10大小説、ドス・パソスの「USA」と茅盾の」「子夜」も入っているけど読んで ますか。一応入手したけど(USAは確か翻訳が高いので原書のみ)、その ままになっている。 藤村の「夜明け前」も日本で唯一のランクインだけど結局読んでないあ。 >>218 確かに、ワッシにしても、エミリーにしても筋だけ取り出してみると。 アブサロムもかな。 フォークナーは馬好きだった。 力を持つ者は馬に乗るもの、英雄として描かれ、ワッシのような力 なき者は馬に乗れない。 馬に乗る者は、女にも乗る資格を持つといったところ。 英雄、色を好む。 グリセルダ Griselda ワッシの孫娘ミリーがサトペンの子を産んだのと同じ朝に、 雄の仔馬(horse、colt)を産んだ雌馬(mare)の名 ボッカチオのデカメロン、さらにチョーサーのカンタベリー物語にも出てくる 貞淑で超人的に忍耐強い女性の名をとっていると思われる。 http://en.wikipedia.org/wiki/Griselda_ (folklore) ロブ・ロイ old Rob Roy サトペンが南北戦争で活躍した際に乗っていた駿馬の名 ウォルター・スコットの歴史小説にも出てくる、スコットランドのロビン・ フッドとも呼ばれる、義賊の通称をとっていると思われる。 日本の競走馬でも、なんとかロブロイって結構ある。 http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Roy_MacGregor http://en.wikipedia.org/wiki/Rob_Roy_ (novel) http://www.ballantines.ne.jp/scotchnote/48/ フォークナーはスコットランドからの移民の子孫。 "Well, Milly," Sutpen said, "too bad you're not a mare. Then I could give you a decent stall in the stable." 自分の孫むすめが雌馬(mare)以下に扱われたことからワッシはサトペンを殺害する。 サトペンの「企図desain」の一つは、自分の世継ぎの男の子(嗣子)を純粋 白人種の女に産ませることだった。 単なる「英雄色を好む」といった性欲のみから、ミリーに手を出したわけではない。 ヘンリーはチャールズ・ボンを殺害した後、家督相続権を放棄して消えてしまった。 気になるのは、ワッシも自分の孫むすめが男子を産むことを期待していたかである。 下記(次の書き込み)の描写から実はそうだったと見る。ただ、それは口さがない噂の ような、外戚として、自分の立場を有利にするといったこととは多分違う。 ワッシはずっとサトペンに憧れていた。羨むというよりは、手の届かない、敵わない存在 として。 Maybe I ain't as big as him and maybe I ain't done none of the galloping. 自分の血を継いだひ孫がサトペンの後継者として、馬にさっそうと跨ることを夢見ていた。 執拗に反復されるgallop(乗馬の際のもっとも速い走り方)という単語がそれを表す。 すぐに曽祖父として、女の子でも自分の血を受け次ぐものとして言祝ぐ気持ちに切り替わるが。 "A girl," he repeated; "a girl"; in astonishment, hearing the galloping hooves, seeing the proud galloping figure emerge again. He seemed to watch it pass, galloping through avatars which marked the accumulation of years, time, to the climax where it galloped beneath a brandished saber and a shot-torn flag rushing down a sky in color like thunderous sulphur, thinking for the first time in his life that perhaps Sutpen was an old man like himself. "Gittin a gal," he thought in that astonishment; then he thought with the pleased surprise of a child: "Yes, sir. Be dawg if I ain't lived to be a great-grandpaw after all." git getの視覚方言。 gal girlの視覚方言乃至guyに対応する略語 ワッシのサトペンのみならず、自分の血をも根絶やしにする自棄な行為は 単にサトペンが孫むすめを馬以下に扱ったことだけが原因ではない。 サトペン殺害は、自己同一視の対象だった偶像の殺害という面があるように思う。 サトペン亡きあと、自己の存在意味もなくなったし、サトペンの血をひいていても それが女性では自己の分身として己の夢を託せないのである。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.5 2024/06/08 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる