0330G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/03(木) 06:08:19.61>>312 >本当はThe Sound and the FuryやAs I Lay DyingやLight in Augustにつぃて書きたいのですが、 Barn Burningが未読で、たぶん、ちゃんととっちめられるのに、残念です。。。
The Sutpen slaves themselves heard of his statement. They laughed. It was not the first time they had laughed at him, calling him white trash behind his back. 0333G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/03(木) 08:02:02.17>>329 >獅子舞を連想させることもありますね
Through the bloody September twilight, aftermath of sixty-two rainless days, it had gone like a fire in dry grass---the rumor, the story, whatever it was.
新潮文庫収録の短編では、もっとも暴力の匂いがするはじまりだな。 血。火と乾燥のコンビは火事・放火を連想させないでもない。 0338キャディ2011/11/04(金) 01:07:26.48 みなさん、こんばんは。 >>329 謳い文句によろと日本人がいつか読んでみたい本No.1だそうです。 楽しくやりましょう。 >>330 わたしは190-199の放火魔に関するやりとりをみて少し引っかかるところがあったので、 念のためにarchiveでBarn Burningを読んでみました。 (しかし、フォークナーの短篇って、やはり凄い。ついついDry Septemberまで読んでしまいました!) 以下、それぞれの放火事件の簡単なメモです(不正確な部分については具体的にご指摘いただけたら感謝です)。 クライティ(Absalom, Absalom!):巻末のchronology1909年12月Clytie sets fire to the house.の記載あり。 9章でJim Bondに灯油を用意させていたとシュリーヴが推定している。三人称の叙述中のダイレクト・コーテーション。 炎に包まれた屋敷の窓に現れている姿をローサ以下3人に目撃されているシーンをクエンティンが幻視。これは三人称の叙述。 アブナー・スノープス(Barn Burning):三人称の叙述。のっけから放火事件裁判の被告席に。複数の息子に手伝いをさせている。 しかも口止めまでしている。ワゴンに使う油を準備させde Spainの納屋へ向かう。 ダール・バンドレン(As I Lay Dying):弟=ヴァーダマンは何かを見たが、姉=デューウイ・デルに口止めされる。 だが、ギレスピー=納屋の所有者がダールの仕業だと知り訴えるつもりだということを兄=キャッシュは把握している。 それぞれ一人称の叙述。 ルーカス・バーチ(Light in August):13章シェリフの尋問に答える火事の第一発見者によると、 白人が二階から降りてきて、この証人が二階へ行こうとしたのを阻んだ上、戻ってきたときにはどこか行ってしまっていた。 (ジョー・クリスマスはその時間には現場にいないと思われる) 同章後半ではバイロンがハイタワーにリーナとのやり取りを話している際に、黒人が白人女性を殺したと話したまではよかったが、 ついうっかり、そのあとそいつが家に火をつけた、と言う。証言とバイロンの話は三人称の叙述の中のダイレクト・コーテーション。 ベンジー・コンプソン(The Sound and the Fury):1928年4月7日の章で、火のあったところに手を伸ばしてデルシーに抑えられる。 一人称の叙述。 0339キャディ2011/11/04(金) 01:23:43.55>>330 The Wild Palms(新しい版ではIf I ForgetThee, Jerusalemというのだそうですが)は、 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と同じように、違う話が交互に来ますが、 後者が2つの話が内と外のような関係にあるとは違い、別の方向にそれぞれ進んでいく、といった感じです。 自由への逃走(逃走)と自由からの逃走みたいな。 Old Manでの河の描写が結構よかったです。 0340G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/04(金) 03:13:46.96>>339 ありがとうございます。 新しい版は、聖書の詩篇の一節そのままの題名なんですね。 http://bible.cc/psalms/137-5.htm
「納屋は燃える」 サーティ少年も父の共犯者としてド・スペインに捕まりそうになり、屋敷から道路に飛び出す。 権力の担い手たる男の象徴としての疾駆する馬(the galloping mare)。 道路脇の雑草weedの生い茂った溝に飛び込んで身を隠し、それをやり過ごす。 waiting until the ultimate instant to hurl himself aside and into the weed-choked roadside ditch as the horse thundered past and on,
ド・スペインの馬は雷鳴のように駆け去り、そのまま、炎上する納屋に向かう。 放火魔である少年の父アブはおそらく射殺される。2発の銃声。 and he springing up and into the road again, running again, knowing it was too late yet still running even after he heard the shot and, an instant later, two shots,
「乾燥の九月」 当初より、レイプは老嬢ミニーの妄想であり、ウィル・メイズはシロに決まっている と考えている理髪師のホークショー(ヘンリー)だったが、マクレンドンらに拉致され、 手錠をかけられたウィルが抵抗し自分も殴られるとつい殴り返してしまう。 しかし、やはりリンチには加わりたくなく、郊外に向かう車から飛び降り、 砂埃を被った雑草weedsの中を転がり、溝に落ち込む。 The impetus hurled him crashing through dust-sheathed weeds, into the ditch.
彼は溝に横になり息を潜ませ、後続の車もやり過ごし、びっこをひいて町に戻る。 he lay choking and retching until the second car passed and died away.Then he rose and limped on until he reached the highroad and turned toward town,
メイズが夜警をしている製氷工場ですね。 The dark bulk of the ice plant, where the Negro Mayes was night watchman, rose against the sky.
0352G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/05(土) 04:56:16.46 第3章 Below the cast the wan hemorrhage of the moon increased. It heaved above the ridge, silvering the air, the dust, so that they seemed to breathe, live, in a bowl of molten lead.
清涼飲料水店the soda fountain 彼女はそこでウィスキー・酒に逃避するわけですが、男たちはもはや彼女 の方をちらみすらしない。 彼女は若い男女が出入りする場所が好きだ。感情移入し、昔の甘美な栄光に 逃避しているのかもしれない。 0356G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/05(土) 11:55:28.52 映画館the picture show
It was like a miniature fairyland with its lighted lobby and colored lithographs of life caught in its terrible and beautiful mutations. >そこでは、ロビーに明るく灯りがともり、おそろしくも美しい人生の浮き沈み のありさまをえがいた色つきの石版画がつらねてあって、小さなおとぎの国のよう だった。
彼女と近所の女たちを含めた4人はここに行きつけているようだ。 いつもの席に座るとある(they took their accustomed places)。
おニュー(古い言い方だなあ)の服に身を包み、映画館に近所の女達と向かうミニー。 ウィル・メイズがマクレンドンにより町の外に拉致された話はすでに広まっており、 その理由が彼女がメイズにレイプされたとの被害申告であることももちろん、みな 知っており、ホテルを通ると旅商人たちが、ドラッグ・ストアの前を通ると若い 青年達まで彼女に視線をやり、彼女の腰や足の動きを眼で追う。 こうして彼女は久々に性的存在として注目される存在となったというのも皮肉が利いている。 旅の人はともかく、町の人たちはみな、床屋のヘンリー・ホークショー(ホーク)同様、 それが老嬢の性的被害妄想であることは実は勘づいていた。 マクレンドンら、黒人をリンチにより殺した連中だって、自分のストレス・欲求不満解消のため、 彼女の訴えをリンチの口実として利用しただけ。 >>360 それもこれもこんなひどい天気のせい、"It's this durn weather." "It's enough to make a man do anything."なんでしょうね。 作品冒頭のaftermath of sixty-two rainless days (雨の降らない日が62日も続いた結果)
A bout de souffle(勝手にしやがれ)の英訳は「Breathless」ですね。 The breathless dark rushed down.の少し後にも then they got out and waited tensely in the breathless dark. があるけど、breathless darkという言葉は一般的な表現としてあるのだろうか…
そのdarkな世界も最後には月と星のもとで… There was no movement, no sound, not even an insect. The dark world seemed to lie stricken beneath the cold moon and the lidless stars. 0377キャディ2011/11/11(金) 23:47:28.93 みなさん、こんばんは。 >>376 breathless darkって表現、わたしはこのテキストではじめてみました。 強烈! 最後のところもビシッと決まってますね。 0378アセンション ◆ZCAcNhb9dZs7 2011/11/12(土) 22:29:03.62>>377 やはりbreathless darkはフォークナー独特の表現なのかな… 手元に翻訳がないので確認できずorz Gさんは出張かな?
それにしても「勝手にしやがれ(A bout de souffle)」って意訳なんだろうなあ。 「息を切らせて」あるいは「息継ぐ間もなく」あたり? 0379吾輩は名無しである2011/11/13(日) 02:26:44.66 フォークナー論の定番ってある? ドストエフスキーならミハイル・バフチン、 夏目漱石なら江藤淳みたいな。 0380G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/13(日) 04:14:51.53 the breathless dark(本文中、2回登場する)の訳は「静まりかえった暗闇」ですね。 鳥の声も虫の声もせず、音と言えば、マクレンドンらの肺腑(lungs)から出てくる「息遣い」 (breathing,breath)と足音、車のたてるかすかな金属音のみという対比。
"Cut the lights off!" McLendon said. The breathless dark rushed down. There was no sound in it save their lungs as they sought air in the parched dust in which for two months they had lived; 「灯りっを消せ!」とマクレンドンがいった。静まりかえった暗闇がおしよせてきた。 その闇のなかで聞えてくるもの音といえば、二か月ものあいだ、とりかこまれてきた乾ききった 砂ぼこりのなかに、空気を捜しもとめている彼らの肺臓の音だけだった。
There was no sound of nightbird nor insect, no sound save their breathing and a faint ticking of contracting metal about the cars. 夜泣き鳥の声も虫の声もせず、ただ彼らの息遣いと、自動車の、熱がさめて収縮する金属のカチカチ というかすかな音がしているだけだった。
But they didn't move until vague noises began to grow out of the darkness ahead; then they got out and waited tensely in the breathless dark. There was another sound: a blow, a hissing expulsion of breath and McLendon cursing in undertone. しかし彼らは、前方の暗闇のなかから、かすかな音が聞えはじめてくるまで、じっとしていた。それから、 車をおりて、静まりかえった暗闇のなかで、緊張のうちに待っていた。別の音が聞えてきた。殴打する音 と、フーフーいうはげしい息遣いと、低声(こごえ)でののしるマクレンドンの声だった。 0381G ◆vDcOqdC/aA 2011/11/13(日) 04:20:12.61 息といえば、
"Goddamn, he stinks!" the soldier said. "We'll fix that," the drummer in front beside McLendon said. >「チェ、この野郎はくせえよ!」と兵隊だった男はいった。 「すぐにくさくないようにしてやるさ」と前方の、マクレンドンのとなりに すわっている旅商人がいった。