>>447
>反共同士でもあり、遠藤と親しかった阿川弘之。

 遠藤さんが反共だったかどうかは詳しくないが。反精神分析だったのは北杜夫との対談で読んだこと
ある。北杜夫は精神医学者だし精神分析にも作家を知る方法の1つとして意味はある、という言い方
をしたら、遠藤が猛然とそれまでのまさしくグウタラなモードから変わって反論しだしたのを覚えてい
る。今思えばあそこまで精神分析を否定する必要あったのかと思うくらいの調子だった。

 遠藤周作の狐狸庵ものは楽しませてもらったが、一見グウタラでありながらそうではない堅いところ
もあった。精神分析否定はその典型で、しかし精神病の作為体験とかがあって苦しんでいる人もいる
事に関してどう言っていたか記憶にない。精神分析をやるしかない事例だってあるんだし。もしや
今思えば『存在と無』でのサルトルに同調したかもしれない。あそこでサルトルは無意識を否定。
当然精神分析も否定。しかも後からはそれを撤回する。あれで『存在と無』が「20世紀哲学の金字塔」
とよく言われるはないだろうと思うが。サルトルのあそこでの展開を鵜呑みにしてそのままだったのか
という疑いもある。最後のフローベール論ではサルトルは精神分析全開なんだけど(笑)