以下、引用。

経済学自体は実に面白かったけど、どうも僕が求めているような経済学は現在求められていないらしいということは小僧なりに薄々感づいた。
つまりここは、アダム・スミスやケインズやマルクスのように考えようと志してはいけない場処だということに気付いた(笑)。
で、「経済が滅びても残るものは何だ?」と考えたんです。
(中略)
今の狭い意味での「経済」概念は、カール・ポランニーが言うように、たかだか十八世紀、ここ二百年あまりしか遡れぬ歴史的に限定されたものにすぎない。
そういう経済、そして経済学(エコノミー)の概念はいつ滅びてもおかしくない。
では経済という概念よりはるかに長命のものは何か。
と、そのころフランス語の読みを仕込んで頂いたある方(ちなみに、西谷修)に聞いたんです。
「宗教か美だ」と言われた。「たぶん『ノーマルな』哲学科だとお前みたいな奴は大喧嘩だから、宗教学か美学にいけ」と。