とある時代小説にこんなシーンがあった。

数人のゴロツキが束になって剣豪に襲いかかる。
一瞬のうちに剣豪に打ち倒されて、地面に転がるゴロツキたち。
「安心せい、峰打ちじゃ」剣豪は去ってゆく。
やられたふりをして倒れていたゴロツキが起き上がって、剣豪の背中をぼんやりと見送っている。

この、「やられたふりをして倒れていた」ってところをさらっと書くのは、小説にしかできないね。
映像や漫画でやると、何カットか必要になるから、余計な意味が生まれてしまう。

「説明」こそが小説の持ち味かもしれない。