自分も中学の頃は『徳』の一字から「徳田球一」とか「徳永直」を勝手に連想して、
『あらくれ』なんかは殖産興業黎明期の工場街での荒くれ者たちの物語だと思ってた。

短いものでは母の死について書いた「感傷的のこと」かな。武蔵野と郷里金沢の往還ものが特にいい。
町の踊り場も姉への追想だから、少し長いが自伝の光を追うても併せて読むといっそうしみじみ。
「老人文学」としては「風呂桶」も好き。