「歴史とユートピア」の冒頭で、シオランは祖国の言葉であるルーマニア語を
捨て去り、フランス語へと亡命した亡命者の苦渋について書いてるな。

故郷から自らを追放し、永遠の亡命者として生きることってのは、故郷が
ある人間には理解しえないことだってね。シオランを読むことで、そういう
境遇がどんなものか、僅かに理解できるかもしれないとおもって、われわれは
彼の著述を手に取るわけだ。 亡命者の著述がもの珍しさから読まれるという
のは、亡命者、異邦人であることを強いられたものからすれば、おそらくは
珍しいものへの好奇心、贅沢の一種というように思われてるのだろうきっと。

亡命者の境遇ってのは、日本人にはなかなか理解しがたいことかな。