5つ星のうち 2.0 残念ながら駄目だった, 2013/1/24
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大辛カレー (東京都中野区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: abさんご (単行本)
普段はアマゾンで購入するが本作は書店員の知り合いに押さえてもらって購入した。表題作を半分読んだ
が挫折した。購入した本だが、読了できるか自信がない。一応読み終わったではないが対面し終わったと
結論しよう。
読みにくい。何が言いたいのか分からない。前衛的である。著者ご本人が早稲田文学でなければはねられ
ていたかも云々とコメントしていたと思う。一人目にレビューした方も普通の新人賞では一次落ちだろうと書か
れている。同意する。
熱に浮かれて書いただけ。東大元総長が絶賛しただけ。前衛的という言葉の定義はしらないが半分頭がお
かしい感じの芸術という事か。なぜ一部の漢字をわざわざ平仮名に開いているのか、そのわざとらしい物欲
しげなあざとさに苛々するばかり。「本当は頭がいいんです」的に、姑息に難しい言葉も混ぜてくる。

小中生、高校生大学生の書く小説から、小説を書くことが好きなシニアの方が同人誌に書く小説まで、
大部分はリアリズム小説だ。それこそが人間と小説の関わりの本道であり、前衛的芸術作品というのは、
まがいもの、唾棄されるべきエセメッキ物、偽物でしかない。
前衛芸術とか狂人日記と呼びなわされるものには迫力はある。だが感動も共感もありはしないのだ。
この事実が芥川賞の近年の凋落を考察する上での、一大ポイントであると確信する。「迫力があって
素晴らしい」と大声で叫ぶ者たちが権力闘争を勝ち抜き、受賞作を推した人として地位を揺るぎなくする。
でも一般人には読みきれないほど詰まらない。愚かな文壇内サイクルだとしか言いようがない。