オルハン・パムクの「雪」と比較すると、後世で読まれうる小説か微妙なんじゃないかと思う
現実の移民の問題などはサウジの資金が「解決してしまう」ようなイスラムが一枚岩かのような描写は疑問が残る
主人公の視点から大学内の意見とわずかに政府諜報員の意見だけからの「ボタンの穴から見るような」世界のため一般民衆が本当に変化を受け入れるのか
大学教員や知識人の体力が衰退して下衆なものになっているという描写はいいとして、ちょっとそれを敷衍させて一般民衆まで迎合するかのレトリックはどうかと思う
いろんなごまかしがあるように見えて、政教分離の歴史を見ると荒唐無稽なファンタジーではないように見えて結局荒唐無稽であるように思う

パムクの「雪」は西洋かぶれのトルコ人の観点からイスラム教が復権する様を描いていて、西洋視点に偏りすぎに見えてその後10年たってもアクチュアリティは失っていない
あの不気味な善人のイスラム宗教指導者たちの存在感は悪行をなすイスラム国にあっても説得力をいささかも失わない

下衆な主人公と転向する大学教授たちが究極的にカトリックでなくイスラム教に服従する理由が性欲に負けてな時点でイスラム教の強度が「雪」と全然違う
誰か読んだ人おらんか?