下西 風澄
「世界中どこの国の若者にも常に受ける物語の骨だけ取り出してみると、こんなものになる」
をカート・ヴォネガットが語っていて、読んでみると完全に村上春樹だった。
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要約すると、孤独な男が旅をして、金はないが知性はあって、精神の安らぎを求めている。
女にモテてセックスをするが、情熱は持てずに結婚もしない。
しかし世界は美しく、魔法にかけられている。それが世界で受ける物語のフォーマットだという。

なぜ、こうしたフォーマットが共感を呼ぶのか。
村上春樹に限っていえば、都市的で匿名的な消費文化へと世界が以降しつつあることもある。
しかしヴォネガットは、フォーマットの象徴をヘルマン・ヘッセに見ていて、
ここにはドイツのホロコーストからの逃避があると見る。今僕たちはどこへ逃避するのか。
2017年3月29日